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Ideas

It takes a village to raise a child

31/10/2020

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卒業生のお母さんから学校へお礼の手紙が届きました。この子は11年生の後半に脳腫瘍があることが判明し、治療と高校生活の締めくくりに集中した1年でした。

その手紙の中にあった表現が胸に響きました。
”It takes a village to raise a child.”

この先生とあの職員さんにお世話になったということではなく、教職員全員が我が子の快復と成長にかかわってくれたことに心からの感謝の気持ちが込められています。

子どもの成長に多くの人々が直接的にも間接的にもかかわっっていること。その事実を保護者や子ども自身が認識できるかどうか、あるいは言葉で表現できるかどうかは、本人の感受性や観察力、謙虚さの度合いと関係があるように思います。

質問です。
  1. 小学校だったら自分の学級、中学高校だったら自分の担当教科や顧問をしている部活動という範囲の中で、子どもの成長について自分の役割と他の人々の役割を質、内容、比率に関して公正にとらえる習慣があるでしょうか。
  2. 人間の成長という大きな視点から観ると、子どもの成長のある期間に限定される学校の役割をどのように認識すると良いのでしょうか。

起源はAfricaのことわざのようですが、子どもは多くの人々、大人に限らず子どもどうしも含めて、たくさんの目と手と心にかかわりあって成長していきます。私は小学校の教師をしている時は学級担任としての自負や自分の理想に拘泥するあまり、子どもたちはたくさんの人々によって育てられるという人間の成長の当然の成り行きを見失っていました。自分が子どもたちにしていることが他のどんな活動や作業よりも優れているという思い上がりがありました。そして自分の持つ価値観を子どもたちに強いるという誤りもありました。

Stephen Covey は私たちの行動や物事の見方を三段階の成長過程として説明しています。
Dependence is the paradigm of you - you take care of me; you come through for me; you didn't come through; I blame you for the results. Independence is the paradigm of I - I can do it; I am responsible; I am self-reliant; I can choose. Interdependence is the paradigm of we - we can do it; we can cooperate; we can combine our talents and abilities and create something greater together. (The 7 Habits of Highly Effective People)

他者への依存から自立、さらに相互依存(共同体意識)へと視点を転換することの重要性は高まっていると感じます。

金曜日はWorld Teachers' Dayでした。中休みにStudent Leadersたちが教職員一人ひとりに小さな贈り物を渡していました。
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Soft Skills

24/10/2020

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前回のThe Character Ethicに関連して、品川女子学院理事長の漆先生から最近の研究についてお知らせをいただきました。

思春期の時点で「興味や好奇心を大切にしたい」という価値意識(内発的動機)を強く抱いた若者は、高齢期の人生満足感が高いこと。さらに、自己抑制力が低い若者が、「金銭や安定した地位を大切にしたい」という価値意識(外発的動機)を強く抱いた場合、高齢期の人生満足感が顕著に低くなるということが明らかになりました。

心理学者で『Grit』の著者Angela Duckworthの対談の中にも共通した指摘があります。

I realise now that when people think of grit, they think of toughness. In the word "grit" I'm trying to convey a sense of both perseverance and passion. I can't really think of a single example of somebody I've studied who has become truly great at what they do without intrinsic motivation.

Grit (
勇気や根気) は不屈の意識だけでなく(興味がある物事への)情熱も含まれること。内発的動機なしに大事を成し遂げた人の例を見たことはない。

It's around middle school where you get the emergence of interests, where students are beginning to have favourite subjects and inclinations and strong views on extracurriculars. During that time, students need to sample different things, and sampling—you can also call it tasting because interests are like foods—will lead to the rejection or acceptance of certain kinds of foods.

中学生の頃に物事への興味や関心が急に現れてくる。この時期に子どもたちはいろいろな物事を試す必要がある。

質問です。
  1. 人の満足感や幸福感が「興味や好奇心」「良い人間関係」と関連が深いことが明らかになっていますが、学校の学習活動の中に興味や好奇心を大切に育む仕組みや機会が保証されているでしょうか。
  2. 部活動や課外活動の仕組みは子どもたちのsamplingやtastingの機会を十分に提供しているでしょうか。

学校は子どもたちの認知能力を伸ばすこととその評価に集中しすぎているために、興味や好奇心、根気、自制などの非認知能力Soft Skillsの正しい測定と評価、さらにそれらを伸ばすことが二次的に扱われてきた現実があります。そして子どもの能力の真価のとらえ方も狭いという事実があるように思います。非認知能力Soft Skillsが社会や組織の成功に重要な部分を占めていることはGoogleの研究 Project Oxygenでも明らかになっています。

火曜日の夕刻から私たちの学校で卒業式がありました。卒業後の希望が読みあげられる中で、多くの卒業生が心理学の専攻を希望していることに気がつきました。高校生はもちろんのこと、社会が真の幸福や心身の健康を求めることに関心が高まっていることの一例でしょうか。
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The Character Ethic

17/10/2020

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10年生の学年集会に行くと、5週間後にあるSemester試験に向けたGoal setting 目標設定の重要性について先生の説明があり、その後各自がLMSから過去の成績表を取り出してこれまでの評定を確認し目標を立て始めました。おそらくどの学校でも試験前になされる「指導」でしょう。

質問です。
  1. もし試験を受ける立場だったら、どのような目標を立てるでしょうか。何点以上をとる、何点以下をとらない、などのような数値目標を立てることに必然性や意味があるでしょうか。毎日やるべきことを必ずこなす、などのような行動目標を立てる場合はどうでしょうか。
  2. 目標を立てることの本質的な目的は何でしょうか。もしそれが物事に成功するためだとしたら、基本的に必要な要素は何でしょうか。

教育者のStephen Coveyは「成功」に関する文献を拾い上げ、第一次世界大戦以降は性格や個性、社会的印象、態度や行動、能力や技術などの要素が成功を決めると広く認識されるようになったとしています。そしてその風潮を「絆創膏や鎮痛剤の応急処置的な手法」という表現を使っています。10年生の試験に向けた目標設定の作業は、もしかするとこの範疇に入るかもしれません。

一方で、それ以前の150年間の文献からは、誠実、謙虚、忠実、自制、勇気、公正、忍耐、勤勉、率直、慎ましさ、礼儀などが成功のための土台として認識されていたことを探しあげ、まとめて”The Character Ethic”と名付けています。(The 7 Habits of Highly Effective People, 2013) そしてこれらこそがどの時代にも共通する価値観であり身につけるべき素養であると述べています。

慶應義塾普通部には92年間続く学校行事「労作展」があります。夏休みを中心とした自主研究活動ですが、作品と同時に各自が提出する「製作日誌」に目を通すと、予想を越えるかなり早い時期からそれぞれが取り組んでいることがわかります。

毎年9月に個性と好奇心、創造力にあふれ、重厚で入念な手作りの作品群に向かうのですが、今年はVirtual労作展に入場させていただきました。受賞した生徒さん方の完成までの道のりや感想も読ませていただくと、すべてに共通していることは “The Character Ethic” にある人間性でした。

「賞をとる」のような短期的で限定的な目標よりも、「この分野に精通する、研究者になる、芸術家になる」のような長期的で普遍的な自分像を描いて汗をかきながら努力した普通部生の光景が目に浮かびました。

The purpose of setting goals is to win the game. The purpose of building systems is to continue playing the game. True long-term thinking is goal-less thinking. It’s not about any single accomplishment. It is about the cycle of endless refinement and continuous improvement. James Clear (2018) Atomic Habits
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Learn, unlearn, relearn

10/10/2020

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家の近くの理髪店では二人の理容師が客の髪を切っています。霧吹きの冷たい水が首筋を流れ、ゴワゴワする前掛けの首回りの不快感と細かい毛が入り込んでチクチクすることを我慢するうち、15分そこそこで散髪が終わり代金の$24を払い通り一遍の会話をして出てきます。

できるものなら二度と来たくはないといつも憤りながらも、この人たちに日本のどの街にもある普通の理髪店の理容師さんたちの腕前と入念な接客作業を見せたら腰を抜かすだろうと思うとおかしくなります。

この理容師たちは20年、30年と生業として仕事をしながらも、作業の速さと正確さをあげること以外にはおそらく何も自らを改革してこなかったのでしょう。新しいことを学んで前に進もうという意識もなかったのかもしれません。世界の高水準の技術や接客方法に触れる機会もなかったのでしょう。

$100近く払うような店でさえ満足度の高い体験はなかったのでこの国の理髪店の水準はこの程度なのだという結論を出すことはできますが、問題は私たちはどのように生きれば成長することができるかということにあります。

質問です。
  1. 職業として従事する領域の中に自分の知らないことがたくさんあるということに気がつくには、どのような習慣が必要でしょうか。そして知らなかったという事実を知り、それらの物事を学習し自らの知識や技能として習得するにはどのような機会と過程が必要でしょうか。
  2. 仕事をするうえで知るべきことを知らない人や気がつくべきことに気がつかない人が身近にいた場合、どのような対応や働きかけが可能でしょうか。

生涯学習という言葉は一般的に使われていますが、敷えんすると三つの発展的な過程から成ると思います。それは "Learn”  学ぶこと "Unlearn” 以前に学んだことを捨てること "Relearn” 新しい知識や技能を学びなおすことの循環作用ではないでしょうか。

自分が学んだことや身につけたことを捨てて、あるいはそれらを土台として、新しい物事を学ぶことは勇気のいることですが、社会に対して影響力の強い職業に従事している人々は常にその自己成長の循環を実践しているでしょう。

知らないことを知るという意味では、NETFLIXの先月の新作 "The Social Dilemma” (邦題「監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影」)には多くの事実が暴露されています。とりわけGIGA構想でにわかに物事を決定し実践する立場にいる人々には考えるべきことが見えてくると思います。
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Words can paint pictures

3/10/2020

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文化庁の「国語に関する世論調査」の結果が先日発表されました。「国語施策の立案に資するとともに,国民の国語に関する興味・関心を喚起する」ことを目的に1995年から実施されています。国語に対する認識を調べる質問として1問目に「国語が乱れていると思うか」とあります。

質問です。
  1. 日本語という言語による表現内容や活動が「乱れている」かどうかを判断する基準は何でしょうか。個人によって異なる判断基準、言い換えれば、主観的な基準、あるいは個人的な感覚に基づく調査結果に科学性があるでしょうか。その数値をどのように分析し国語施策の立案につなげることができるのでしょうか。
  2. 「国語がどのような点で乱れていると思うか」という質問では「若者言葉」という選択肢を選んだ16~19歳は84.4%にのぼり他の年齢層を引き離しています。このことは何を意味しているのでしょうか。

言葉を媒体とする言語活動について、文化庁の世論調査と同様の目的を持ちながらまったく異なった方法の調査結果があります。

1年にわたり世界の首脳の演説や報道発言などを分析してcommunication and public speaking skillsの優れた人を選出しました。第1位はNZの首相 Jacinda Ardernで、次のように評しています。
“She challenges the common perception that emotional communication shows weakness, instead choosing to approach the public with a softer, emotionally mature touch which makes her very relatable.”

言語活動について別の視点からの記事もあります。米最高裁判事 Ruth Bader Ginsburgは在職中に要点が明確な文章、簡潔な文章、平易な文章を書くことを心がけました。そして彼女は数々の重要な裁判で人道主義に基づいた力強い行動を続けます。大学在学中に欧文学の教授から「言葉で絵を描くことができるのです」と教えられて、自分の文体が変わったと語っています。
“A lawyer is a skilled professional who has an obligation to serve the public. The more effective a lawyer can be in speech and writing, the better professional he or she will be.”
という語りは私たち教師にも当てはまるように感じます。

「言葉で絵を描く」ことの例としてこれはどうでしょう。
This tasty Chardonnay from the Central Ranges is rather timid on the nose, but boy, once you take a sip, it will carry out conversation till midnight. The palate is full and textured filling the mouth with flavours of freshly sliced pineapple, ripe nectarine, a light dollop of vanilla and lots of spice. There are a beautiful weight and roundness from its time spent in French oak, but still refreshing with some zesty lemon and great acidity that drives a steady clean pace through the finish.

1本750mlの商品についてこれほどの情熱を込めて書く、この評者の意欲と熱意、そして表現力に乾杯です。
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    萩原   伸郎

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