入学して1か月、7年生との学習活動の終わりに次週の予定を説明しようとした瞬間に、ゴールデンウィークであることに気がつき、来週はないから再来週にと言うと「ゴールデンウィークなんかいらない。」と叫んだ子どもがいました。そして周囲の子どもたちも同調しました。
この子どもたちが、これから先いつまで休みより学校に行く方が良いと思い続けるだろうかとぼんやり考えました。そして、来年の今頃にはそんなことは言わなくなるだけでなく、感じることさえもなくなるのだろうかと予想するとさびしく感じました。 質問です。 ① 朝学校に来る時、教室に入ってくる時に、子どもたちはどんな表情をしているでしょうか。学習活動が始まる時に子どもたちは笑顔でしょうか。明るい表情をしているでしょうか。こちらをしっかりと見つめているでしょうか。 ② 学校や教室の中で、学ぶ意欲や知ることの楽しみやできることの喜びを奪い取っている可能性のある要因は何でしょうか。 ③ 子どもたちは学校にとっての顧客という視点を持って、WhatやHowについて話し合うことは可能でしょうか。 Schools everywhere are organised on the assumption that there is only one right way to learn and that it is the same way for everybody. But to be forced to learn the way a school teaches is sheer hell for students who learn differently. Indeed, there are probably half a dozen different ways to learn. Peter Drucker (2005) どこの学校でも、正しい学習方法は1つしかなく、誰にとっても同じ方法であるという前提で組織されています。しかし、学校が教える方法で学ぶことを強制されることは、異なる学び方をする生徒にとって地獄のようなものです。実際、学習方法は半ダースもあるのです。 Druckerはこの文章の後に学習者自身が “How do I learn?”と問いかけることが、まず最初の質問であるべきだと主張しています。中高生に自分の学び方をMeta-cognitiveにとらえ、教師に伝える機会を持ち、そして教師がそれに応えるというシステムができれば、子どもたちの表情は良くなるのではないでしょうか。それが学校や学習のCo-agencyという理念の基本にあるように思います。 さて、世間擦れして純粋さがやや濁ってきている私は、ゴールデンウィークには学校に行かずに好きなことができることを楽しみにしています。新学期の1か月で頭や心の中がすでにからっぽになりかかってきているので、十分に補填しようと思っています。
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この時期は日毎に景色が変わることを、3回目の日本の春の中にいて感動しています。そのためか、北の方角に連なる山や学校にある木々にあらわれる変化を見落とさないように、見過ごさないように意識しているようなところがあります。
Positive psychologyのonline courseの中に私たちのAttention (注意、関心、興味)について説明がありました。 Bottom-up attention: Attention that is a allocated effortlessly/automatically to salient stimuli in the environment 周囲の刺激に無理なく、自然に反応する注意 Top-down attention: attention that is allocated effortfully and consciously based on our current goals or prior knowledge 現在の目標や前もって得た知識に基づいて、努めてかつ意識的に振り分けられる注意 質問です。 ① 私たちが無意識のうちに反応して注意したり関心を持ったりしていることは何でしょう。仕事場や教室であらわれている実例は何でしょうか。 ② 子どもたちとの関わりや学習活動の中で意識的に注意していることは何でしょうか。あるいは、努めて拾いあげることを意識しなければ見逃してしまう可能性があるものは何でしょうか。 学校の教育活動、組織や物事の手順の中にTop-down attentionを払わなければ、深い学びにはつながらないこと、問題や事故につながる可能性が高いものがたくさんあります。そしてそのことに気がついていない人的なBlack spotsの実例も多くあるように感じます。 その一例として、子どもたちが学ぶことの目的・目標は何かという本質的な問いから離れて、教師自身が描く教えること(教え込むこと)の目的が第一義にあってその意識から離れられない現実があります。 The goal is student learning and satisfaction in learning not curriculum coverage. Dylan Wiliam 目標は生徒の学習と学習における満足度であり、カリキュラムを網羅することではありません。 そして、カリキュラムを網羅することが学習と主張することができた時代は終わっています。 The dilemma for educators is that routine cognitive skills, the skills that are easiest to teach and easiest to test, are exactly the skills that are also easiest to digitise, automate and outsource. Andreas Schleicher 教師にとってのジレンマは、最も教えやすく、最もテストしやすい定型的な知識・技能は、まさにデジタル化、自動化、アウトソース化しやすい領域であるということです。 こうして見てくると、ここにもTop-down attention が必要なことに気がつきます。 |
Author萩原 伸郎 Archives
10月 2024
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