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Calling

18/12/2016

 
​もうすぐ Christmas。Christ (キリスト) の降誕を祝う Mass (ミサ)  が語源です。Kolbe College では16日に教職員に今年最後の Mass がありました。神父さんは私たちの仕事は ‘calling’ だということを話してくれました。 「強い使命感」「天職」という意味です。日本語には仕事、職業、雑用、作業、任務など『仕事』に関する言葉がたくさんあるように、英語にも数多くあります。その中で ‘calling’を感じて選ぶ仕事は ‘vocation’ です。「天職」「聖職」という精神性の高い意味です。

私たち教師の仕事はまさに ‘vocation’ であって、job や work ではないと常に思います。学校にいるときも帰宅しても週末でも生徒たちのことや学習活動のことなどが頭から離れない、特殊な職業的気宇を持っていると思います。ある弁護士がある依頼人の案件を入浴中も考えていたので、その時間も請求したという話を聞いたことがあります。もし私たち教師も同様に、考えていたり関わっていたすべての時間を請求するとなると報酬額は倍増するでしょう。
          
その日の晩に見た documentary film も人間の仕事に関するものでした。Greece, Lesbos (Lesvos) 島の沿岸警備隊のある一日 (2015年10月28日) の仕事を映像でとらえたものです。Syria 難民が4.1miles (約6.6km) 離れた対岸のTurkey から一日数千人の単位で命がけの「航海」に臨みます。距離は短いものの、船の状態と乗船者数が危険度を増します。制作者によると、撮影した日にはさらに2回の救助活動があり、それらの映像はこの作品に加えなかったそうです。警備隊員の責任感、感情、肉体的・精神的疲労、さらに難民を助ける島民の感情を想像するには余りあります。これらの人々にとって直面する仕事はまさに ‘calling’ なのだと思います。

質問です。
① 今年を振り返って、日々の仕事が ‘calling’ だと感じたことはありますか。
② それはいつ、どんな時に感じられましたか。

Lesbos (Lesvos) 島の市長さんの interview を偶然見つけました。”For them, this island represents hope. It represents European civilisation. And we need to be worthy of that hope.” と語っていました。国の経済危機にも直面している中で、Syria 難民を救済する諸々の経費や人的・物的資源のやりくりなど容易であるわけはない。市長さんの人道主義を貫く姿勢に人間の尊厳を感じました。

2016年も毎日の仕事や生活の中に、たくさんの輝く magic moments があったことでしょう。この年末はそれらをひとつずつたどって、ご自分の努力や成果をゆっくりと咀嚼してじっくりと味わってほしいと思います。

PISA 2015

11/12/2016

 
PISA 2015 の結果が6日に全世界で発表され、日本の各報道機関も最新の結果について報道しているようです。私がこれまで目を通した各国の報道は、どれも担当記者が手っ取り早く要点をかいつまんで記事に仕立て上げ、良しにつけ悪しきにつけ、自国の教育制度や学校教育の効力について単純な結論を導き出しています。

本当に未来を担う子どもたち、そして世界の進むべき方向に責任を持つならば、400頁を超える OECD の報告書の隅々まで目を通すのが必要で、そこから論説なり記事を組み立てるべきだと強く感じます。

とりわけ私が発表の前から関心が高かったのは移民の子どもたちがどのような結果を出したかということです。OECD は移民の受け入れの程度を国ごとに8つに分類しています。日本は当然のことながら8番目の「移民の児童が全人口の2%未満」という group に入っています。この点についての分析は機会があった時に述べたいと思います。

恐らく日本の報道では取り上げられなかった今回の結果の中で、極めて重要なことがありました。それは報告書の 223頁にある Percentage of resilient students です。これは生徒とその保護者の経済、社会、文化的な生活水準を4段階に分類し、その最下位1/4に属する生徒が Science literacy test でどのような結果を出したかという分析です。日本はその最下位1/4の生徒のうち49%が上位1/4の成績を出しています。これは Singapore と並んで世界第4位です。(OECD 72カ国の平均は29%)

生徒たちの基本的人権が献身的な先生方、学校を取り巻くたくさんの人々の努力で守られ、その生徒たちの能力が育まれているという事実。これは国家として誇りにするべき事実だと思います。これこそが、数学、読解力などの国際順位よりも大切な、公教育にたずさわる人間がこだわるべき真髄なのではないでしょうか。

今回の結果を受けて世界の教育研究者がそれぞれの視点で感想を述べています。目にとまった2つの意見があります。 一つは、2015年の PISA の結果のみを見るのではなく、test を受けた生徒たちがこれまでどのような学校教育を受けてきて、どのような PISA の結果を出したのかを調べるべきだという意見。 もう一つは、韓国などアジアの国の生徒たちは放課後の塾通いが一般化していて、そのような制度がない他国の生徒たちとは単純に比較はできないという主張。どちらももっともなことで、さらに付け加えるならば、私は被験者15歳の若者たちの「幸福度」や「自己達成感」も気になるところです。
​

それにしても日本の担当大臣の comment は極めてお粗末なものでした。

師走雑感

7/12/2016

 
Australiaでは12月は1年の終わりと同時に学年末でもあります。1年を振り返りながらこの学年も振り返ることになります。毎日を大切にしてきたつもりでも、年末になって残りの日数が数えられる頃になると、これまでの日々をおざなりにやり過ごしてきたような不安感がよぎります。

この時季には生徒から思いがけずcardなどをもらうことがあります。先週ある生徒が手書きの card をくれました。この生徒は毎朝 Learning Centre に来て宿題をしたり、本を読んだり、友だちと話したりしています。私の class ではないので接触は限られていますが、1年間のお礼が述べられていて最後にこうありました。

          ’Your smiles & “how are you?”s always brighten my day.

私自身、日本の先生方が奇特に校門で一人ひとりに朝の挨拶をされるようなことはしていませんが、 Learning Centre に来る生徒たちにはあたたかく迎えてあげようとだけは心がけています。日々のそんな短い挨拶や会釈をこの生徒は心に留めていたこと、そしてそれを私に伝えたいと思ったこと。ささやかなさわやかな所作が、私の一日を明るくしてくれました。

私たち教師は生徒たちを育てることに集中していますが、逆に学ばされていると感じる機会は少なくありません。9年生の Challenge Based Learning の 最後の課題は Start your own business という起業活動です。実際に利益を上げて年末の募金に寄与するというものです。今週の金曜日でこの学年のすべての教育活動が終了するのに、さらに CBL では他教科のような数値での評価は出ないのに、今週はあちらこちらで最後の販売活動をしています。「できませんでした」と匙を投げずに突き動かしている原動力は何なのでしょうか。今日もある group が放課後の調理室で明日の休み時間に売る donuts を作っていました。さりげなく card をおくる心配り、最後まで諦めずに起業活動に挑戦する態度に謙虚に学びました。

質問です。
① 生徒が自分の考え、気持ちなどを素直に伝えて来た時に、どう受けとめていますか。
② 気持ちなどをまったく伝えてこない生徒とどのように信頼関係を築いていますか。
③ 黙々と努力している生徒たちをどのように見極め、讃えていますか。


​生徒たちに、評価や賞罰ではなく、純粋にやり遂げたいという欲求や責任感を沸き立たせることができると自発的、主体的な学習活動が可能になる、という当然の定理もあらためてこの師走に認識しました。

    Author

    萩原   伸郎

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