土曜日の夕方、学校の近くにある学生寮に立ち寄りました。先週入寮した9年生がラウンジでひとりでゲームをしていました。
今日初めて自分で洗濯をしたこと、パンが好きなので夜ご飯に食べるパンを用意したこと、部屋にはラーメンが蓄えてあること、自分の生活に責任を持たなければならないこと、寮の先輩たちがみな優しいので生活が楽しいことなどいろいろ教えてくれました。 寮に入らなければ身につける機会がなかった習慣だったと本人も言うように、私たちは環境や状況が変わるたびにこれまでのやり方を自然に変えていきます。 質問です。
そういうことをぼんやりと考えている時にVintage innovationという考え方に触れました。最新の技術、機器、理論が革新を生むという画一的なとらえ方だけでなく、従来の道具、方法も並行して考え、その両方の接点で革新的な成果をねらうというものです。 その際に次の質問を窓口に考えてみることが提案されています。
当たり前と言えばその通りなのですが、technologyを軸として革新度を測る風潮やtechnologyを活用することが革新の手段ではなく目的化している現状、technology biasをなくす視点であると感じました。 “(Innovation is) the process of putting original ideas into practice. Innovation may focus on any aspect of an organisation’s work: on the introduction of new products, of new services or new systems. Innovation may be the aims, but the process of getting to it has to begin with imagination and creativity.” Ken Robinson (2011) Out of the Minds 「Innovationが目的であっても、それを実現するためのプロセスは、想像力と創造力から始めなければなりません。」
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私学展という学校説明会に初めて参加しました。各学校の力の入れようはポスター、揃いのユニフォーム、看板、椅子のカバーなどの小道具から小冊子、おみやげ、特製の袋などによくあらわれています。会場は観光地の目抜き通りのようなにぎわいで客引きの呼び込みの声であふれています。押しの強い勧誘ぶりは玄人肌です。
外国人の非常勤講師まで動員して、大看板を持たせ一番前に立たせている学校もいくつか目につきます。それが学校の実像であるような印象を持ってもらおうとしたのでしょうが、実際には、後味の悪い虚像を見せつけることになりました。 この3日間は、生徒獲得に知恵を絞って総力をあげる日本の私立学校の現状を初めて観察する体験になりました。同時にこの虚しい行事を通して2つのことを考えました。 質問です。
会場にひしめく95校は、私たちの学校も含めて、おそらく良い学校でしょう。けれども突出してすばらしい学校と言えるところはないのだろうと感じました。どの学校も基本的に同じで、本当に他校とは異なる教育実践をする勇気と情熱のある学校はないのだろうと漠然と感じました。現役大学進学率や有名大学進学率など多種多様の数字が学校の文化や価値、教育力の客観的評価基準にはならないという当然の事実を見失っている特殊な空気が充満していました。 企業の経営や成長が専門で教育とはまったくかけ離れていますが、Jim Collinsの指摘は学校の経営やbrandingに共通する点がたくさんあります。 “The good-to-great companies understood that doing what you are good at will only make you good; focusing solely on what you can potentially do better than any other organisation is the only path to greatness.” Jim Collins (2001) Good to Great 「最優良企業は、得意なことをやっていても良い企業にとどまるだけであること、他の企業よりも確実に良くできる可能性のあることだけに集中することが最優良企業への唯一の道であることを理解しています。」 “Japan’s Olympics have reminded us that the world can be fun” と今日のThe Guardian紙の小見出しにありました。
Pandemicの中でも「世界はおもしろい」ことを信じて留学に出発する人々がいます。留学あっせん業者や団体の無責任さは、参加者にCOVIDが蔓延している状況下であることを承知しているという誓約書を出させるという自己防衛をするまでにりん理観を失っています。お菓子屋が「この商品には少し毒が入っていますが、それを承知の上でご賞味ください」と言っているのと同じではないかという質問に反論することはできませんでした。 先日、午後の一番暑い時刻に遠くの自宅から来年の留学について相談に来た10年生がいました。異文化体験をしたいと話していました。 質問です。
The most important knowledge entailed in global competence is not just having an awareness of several different cultures and types of societies. It is explicitly learning about the way that culture shapes our lives – our thinking, our values, our decisions. V. Hannon and A. Peterson (2021) Thrive 「Global Competenceに必要な最も重要な知識は、単にいくつかの異なる文化や社会の種類を認識することではありません。文化が私たちの生活、つまり私たちの考え方、価値観、意思決定をどのように形成しているかを明確に学ぶことです。」 COVIDに関する政府の方針と国民の行動を国ごとに調べてみようという課題が出たとすると、国内にいても相当深い探究学習ができそうです。 More difficult, but at least equally important, is to shift from qualifications-based certification systems to more knowledge- and skills-based certification systems. That means moving from documenting education pathways towards highlighting what individuals can actually do, regardless of how and where they have acquired their knowledge, skills and character qualities. Andreas Schleicher (2018) World Class 「知識や技能、性格的資質をどこでどのように身につけたかにかかわらず、個人が実際に何ができるのかを明らかにすること」を大切にしていくことでしょう。 |
Author萩原 伸郎 Archives
12月 2024
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