• Home
  • About
  • Element
  • Ideas
  • Details
  • Contact

Ideas

個別化と多様化

16/3/2019

0 コメント

 
​今週を振り返ると、とりわけ二人の同僚とかわした深い会話が頭に浮かびます。

一人は数学の先生です。数年前公認会計士から教職へ転職しました。慣習にとらわれずに創造的な学習活動を実践しています。火曜日の朝、誰もいないstaffroomでため息をついていました。新学期が始まって6週間、教室の生徒たちとも良い関係を築き学習を進めてきたけれども、全員が理解して習熟したかどうかに関係なく、指導計画に沿って次から次へと単元を渡り続けることや、指導計画上のassessmentsをこなすことを強いられることにうんざりしてきたともらしました。いつもの悩みが持ち上がってきたと言います。

二人目は宗教の先生です。宗教教育で博士号を持つ大御所です。この先生とはしばしば教育の根底に流れる哲学について議論をします。曰く、なぜ全員に同じassessmentsを出して同じように答えさせて同じように採点しなければならないのだろうかという疑問です。

二人との会話に共通している課題は、学習の個別化や多様化、評価に集約できそうです。

質問です。
  1. 子どもたちの学習を、本質的に一人ひとりの能力や関心に合わせた内容や方法で提供することをしない理由は何でしょうか。
  2. 人間が原理、意味、因果関係、法則などを理解したかどうか、解き方、考え方、作り方などを習得したかどうかを調べるためにはどんな方法があるでしょうか。

​教育行政の視点や学校の都合を第一義に子どもたちの学習のあり方を考える方法があります。その正反対として、子どもたちの興味・関心、一人ひとりの能力を中心にして学習を組み立てる方法もあります。後者の方法が21世紀型の学習形態であることは明らかです。しかもこの方法を選び実践することはさほど難しいことではありません。

今年度担当している教科の中で8年生のPhotography and PhotoshopとGame Design and Developmentを例に考えてみましょう。この時点でPhotographyの基本技術を知っている生徒やAdobe Photoshopを使える生徒はいないので全員が同じスタートラインに立って学習が始まりました。一方のGame Designはprogrammingを知っている生徒がいるので既に出発点はばらばらです。まず最初にしたことは、出発点が異なる生徒たちがそれぞれ自分に合った段階の学習を始めることができる共通のplatformを探すことでした。そしてどの段階であっても、創造力、問題解決能力、学習した技能を応用する力、難しい場面に直面した際の粘り強さを客観的に測ることのできる課題(assessment)を選びました。そして一人ひとりに到達度の自己評価をしてもらいました。もちろん、Assessmentsをする時期は各自の学習進度によって異なります。
0 コメント

Empowerment

10/3/2019

0 コメント

 
​水曜日は8年生が予防接種の日でした。クラスごとではなく名字のアルファベットの順で受けるので、教室には接種を受けた生徒、これから受ける生徒、今受けている生徒が混在します。どういう訳か、こちらの子どもたちは注射を極度に嫌います。

2時間目の日本語の教室はそんな興奮状態でした。通常の学習はやめにして、ペアやグループになって選んだ分野や領域の日本語の名詞集めをすることにしました。iPadなどの機器やinternetがなかった一昔前には不可能な学習活動です。自由に会話をしながらそれぞれがひらがなで名詞を書き上げて、学習時間が終わりました。

4時間目の中ごろに先ほどのクラスのひとりからmailが届きました。「日本語の時間には課題をしなかったので今やり終えました。失礼な行動をしてすみませんでした。」とあって、32の動物の名詞をひらがなとカタカナで書いたノートの写真も添付されていました。

私から課題を終わらせるように促されたわけでもなく、学習態度が悪いと注意されたわけでもないのに一体どうしたのでしょうか。

質問です。
  1. 子どもたちが見せる様々な行動やつぶやきから、私たち教師は何を感じ取る必要があるでしょうか。
  2. 子どもたちが教師に言いやすいことも言いにくいことも伝えてくるような関係をつくるために、教師はどのような素養を持ち、信頼関係をどの順序で築いていく必要があるでしょうか。

週明けの朝、11年生数人とLearning Centreで話していました。話題が化学のテストのことになると、そのうちのひとりが先生からテストの結果について言われたことをつぶやきました。明らかに間違った表現です。感情を抑えるのに精一杯のこの友だちをいたわりながら、別の生徒が数学の先生が教室の全員に言ったことを再現しました。これも残念な発言です。

生徒たちからそのような生の声を聞くときは、彼らと同じように憤りを感じます。同時に、自分もそのような間違えをしていないか、無意識のうちに配慮に欠けた言動をしていないか心配になります。

教職員の専門性や人間性が子どもたちの知的、社会的発達に直接影響していることを常に認識して、自分を高めることの重要性はIdeas 82でJohn Hattieの言葉 the greatest effects on student learning occur when teachers become learners of their own teaching を引用して述べました。指導技術を高めたり教材研究を深めるだけにとどまらず、子どもたちと確実な信頼関係を築くこと、教科を超越して学校生活のすべての場面で彼らを育てるという意識を持ちたいと思います。
0 コメント

    Author

    萩原   伸郎

    Archives

    2月 2023
    1月 2023
    12月 2022
    11月 2022
    10月 2022
    9月 2022
    8月 2022
    7月 2022
    6月 2022
    5月 2022
    4月 2022
    3月 2022
    2月 2022
    1月 2022
    12月 2021
    11月 2021
    10月 2021
    9月 2021
    8月 2021
    7月 2021
    6月 2021
    5月 2021
    4月 2021
    3月 2021
    2月 2021
    1月 2021
    12月 2020
    11月 2020
    10月 2020
    9月 2020
    8月 2020
    7月 2020
    6月 2020
    5月 2020
    4月 2020
    3月 2020
    2月 2020
    1月 2020
    12月 2019
    11月 2019
    10月 2019
    9月 2019
    8月 2019
    7月 2019
    6月 2019
    5月 2019
    4月 2019
    3月 2019
    2月 2019
    1月 2019
    12月 2018
    11月 2018
    9月 2018
    8月 2018
    7月 2018
    6月 2018
    5月 2018
    4月 2018
    3月 2018
    2月 2018
    1月 2018
    12月 2017
    11月 2017
    10月 2017
    9月 2017
    8月 2017
    7月 2017
    6月 2017
    5月 2017
    4月 2017
    3月 2017
    2月 2017
    1月 2017
    12月 2016
    11月 2016
    10月 2016
    9月 2016

    Categories

    すべて

    RSSフィード

Copyright © 2022
  • Home
  • About
  • Element
  • Ideas
  • Details
  • Contact