学校の北の方角に見える山並みは、この時季になると毎日色を変えます。先々週は山桜のやわらかい色のかたまりが点在していました。先週からは木々の新緑の色の変化と斜面がふくれてくるような量の変化を眺めて楽しんでいます。
萌える春の光景は、今を大切にすること、今を楽しむこと、そして今しかできないことをすることを気づかせてくれます。 質問です。 ① 新学期に心がけていることは何でしょうか。新学期に毎年必ずすることは何でしょうか。新学期にしかできないことは何でしょうか。 ② 今を大切にすること、日常を丁寧に過ごすことを心がけると私たちの生活や仕事はどのように変わるでしょうか。今の時間を大切にすることに主眼に置くと、子どもたちの学習活動の内容や方法はどのように変わるでしょうか。 教室にいる一人ひとりの子どもたちとつながることの大切さは、たとえば新しい学校に転任すると強く感じます。昨年の今頃は、会話をしていてもこちらからの言葉が相手の心に届かずに上滑りしている感覚が常にありました。この学校に通っている子どもたちとつながっていないとすると、私はここにいる意味はありません。そして子どもたちのことを知る努力、つながる努力をしなければ、10代の子どもたちとの人間関係は築けません。 “if you have a humble eagerness to learn something from everybody, your learning opportunities will be unlimited. Generally, you can be humble only if you feel really good about yourself—and you want to help those around you feel really good about themselves, too.“ Clayton Christensen (2010) How Will You Measure Your Life? 「誰からも何かを学びたいという謙虚な気持ちを持てば、学ぶ機会は無限に広がります。謙虚になるには、自分自身のことを本当に良いと感じていること、そして周りの人が自分たちのことを本当に良く感じるようになってほしいと思うことが必要です。」 紛争が続くウクライナで今を大切にする努力を続けている先生方がいます。そのうちのひとりの先生がTEDの中で語られていた言葉が胸に響きました。 "As long as our children keep learning and our teachers keep teaching -- even while they are starving in shelters under bombardment, even in refugee camps -- we are undefeated," 今を大切にすることが、明日を大切にすることにつながり、希望につながるという連鎖があることに気がつきます。
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学校が社会や当事者に対して責任を持つこと、説明をすることは当然のことですが、日本全国の学校が毎年実施しHomepageに公開している「学校評価」は果たして公平な評価として機能しているのか疑問に思います。自分たちがしたことを自分たちで採点する自己評価は、まさに内輪でする振り返りや反省会であり、学校評価という名称にふさわしい価値のある資料なのかどうか。
そしてこの作業を一層曖昧にしていることは、良い学校の定義や基準に普遍性がないこと、人によって学校観や教育観が異なる中で学校の質を公正に測る方法が共有されていないこと。さらにアンケート調査にあらわれる当事者の主観的、感覚的な満足度がそのまま評価に反映される現在の仕組みは、偏見や先入観をふるいにかけることをせずに調査結果として公表することになり、これが最善の方法なのかどうか。 学校評価に初めて携わって一番強く感じたことは、それらの制度や方法の欠陥から発生する問題点もさることながら、この毎年恒例の作業は年度の始めに1年後の実現可能な目標を立て、成功の基準を明確にして、具体的な方策を持たなければ、年度の終わりに相当な時間をかけて作業しても意味はないということです。 質問です。 ① 教えた教師がその生徒たちを評価する慣習から学校が抜け出ることができないのはなぜでしょうか。担当教師ではない別の人が生徒たちの学習の足跡や成果を評価するとどのような変化が生まれるでしょうか。 ② 良い学校の要素は何でしょうか。世の中が持つ良い学校の基準には普遍性があるでしょうか。良い学校の定義や認識が人によって異なるとすると、良い学校になるために努力をする際の目的や目標は何に準拠すると良いのでしょうか。 学校評価が少しでも客観性のある数字から判定されているという印象を与えるために、アンケート調査が使われます。けれども、良い結果が出やすいように質問や選択肢を操作することや、自由記述の設問を減らすなど傾向と対策を尽くして自分達に有利な結果が出るようにする例もあるでしょう。目標と成功基準について定量的な方法だけでなく、定性的な方法からも学校の実態を正確につかむことが必要なのだと思います。 私たち教師が子どもたちとかかわり学習活動をする中でも、学期や年度の始めに具体的な到達目標をたてて、その成功の例や基準を明確に描くことが重要であることを、学校評価の作業から再認識しました。 Daniel Pinkは「1年のうちに86回新しい物事を始めるきっかけがある」When (2018)と指摘しています。ちょうど今は新学年、新学期の始まりなので、何か新しいことを始めるのに絶好の機会かもしれません。 |
Author萩原 伸郎 Archives
10月 2024
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