21世紀の教育の方向性を説明する際にCで始まる言葉が多く使われてきました。Creativity, Critical Thinking, Collaborationなどです。昨日読んだ記事にLive with COVIDのなかで学校や教育行政が注力している事柄も4つのCから始まる言葉で解説していました。
COVID protocols: 感染予防の手順、Compliance requirements:(授業時数や成績処理など)遵守すべき事項、Calendars & class schedule: 学校カレンダーと教室のスケジュール、Content knowledge catch-up:(積み残した)学習内容の知識の取り戻し。 国や地域によって学校への影響に差があるものの、概ね共通した状況だろうと予想がつきます。 質問です。
学校の仕事、校務分掌の一覧を観るとその学校の思想や文化を感じ取ることができます。Taskとしての仕事を中心に考えられているか、それともMissionをもとに子どもを中心にして考えられているか。4Csの視界には学校にいる子どもたちや教職員の姿をとらえていません。 自分だったらLive with COVIDのなかの学校経営で何を重点とするか考えてみました。Community building: 共同体の意識とつながりを取りもどす、Capacity building: 子どもたちと教職員の能力や受容力を伸ばす、Confidence recovering: 自信を取りもどす、 Co-agency: 学校に直接かかわる人々が学ぶこと教えることに関わり合う、ということを大切にしてWell-beingを保ちたいと思います。 各自のWell-beingや幸福度を良い状態に保つことは学校という場では当然の責務ですが、今の現状ではとりわけ重要度が増しています。心理学者のAngela Duckworthの最近のblogでもそのことが取り上げられていました。 “Some might argue that well-being is for wimps. I don’t think so. The hardest-working people I know care a great deal about their own well-being and that of others, too. You’re far from your best when you feel isolated, sad, insecure, or bored. And the country of Finland, famous for its gritty culture, is also the happiest country in the world.” “Well-being”は弱虫のためのものだと言う人もいるかもしれません。私はそうは思いません。私が知っているとても働き者の人たちは、自分の幸福だけでなく、他人の幸福にも大きな関心を寄せています。孤立したり、悲しんだり、不安になったり、退屈したりしているときは、最高の状態とはほど遠いものです。そして、厳格な文化で有名なフィンランドは、世界で最も幸せな国でもあるのです。
0 コメント
“Now I think it’s one of the most useless questions an adult can ask a child—- What do you want to be when you grow up? As if growing up is finite. As if at some point you become something and that’s the end.” Michelle Obama (2018) Becoming
大人が子どもにする質問の中で、最も意味のないものの一つと思うのが「大きくなったら何になりたい?」です。大人になることで何かが完了するかのように、ある時点で何かになってそれで終わりであるかのように。 私たちは深く考えずにこの質問を子どもたちにたずねています。とりわけ進路指導の過程では必出質問でしょう。 質問です。
夏休みが明けてから12年生の一人ひとりと面談の機会を持ちました。そこで気がついたことは、多くの12年生が様々なことに興味と関心を持ち、多様な分野の領域を学びたいと希望していることでした。既成の枠組みの中にいるのではなく、それぞれが自分の組み合わせを作っていく青春の可能性に清々しさを感じました。 現在もそして将来も、良い生き方をする人々、良い学びをする人々には自分なりの学び方があり、成長があり、そしてidentityを形成しているのだろうと思います。 12年生との面談の中で、高校卒業までの間に検定などを受けると話してくれた人も多くいました。自分の能力を検定という基準で公的に認めてもらう準備をするという先見性は大切なことだと思いました。 けれども、これらの日本的な方法によらなくても自分の能力を伸ばしたり実力を示したりする方法はたくさんあるということも感じました。それはたとえば英検のような級が言語活用能力の正確で客観的な判定基準にはなり得ないのではないかという疑いと、取得することが目的となってそこで学びがとまる、前述のfiniteの考え方に陥る可能性があるからです。 検定制度という狡猾なbusiness modelに影響されない賢さを持つことはむずかしいことでしょうか。 2時間半を越えるonline会議が2回続きました。どちらにも共通している点がいくつかあります。議案書にある協議事項が多いこと、それらの協議事項は実質的には既に決定している事柄で提案者側には改正する意図がないことです。
それではなぜ会議を開く必要があるのでしょうか。 質問です。
それでもなぜ会議を開くのでしょうか。協議事項と称して一つひとつの案件が朗読され、承認されるという儀式を経ることが民主的な議事であるという誤解、参加者がその儀式の場にいることで議事が進行するという誤解が旧来の形態の会議を続けている根本的な理由となっているように思います。 さらに人は信用できないという偏見も私たちの意識の根底にあるように思います。便宜的な協議事項は連絡事項として文書で組織内に配信し、各自がそれに目を通すことを習慣化すれば議案数を激減させることができるでしょう。 三十数年ぶりに日本式の会議に再び参加するようになってしばしば感じることは、参加者は会議の明確な目的を認識していない、議事進行係の人は効率良い会議の運営方法を知らない、そして双方が効果的な協議の方法を知らないということです。 協議の場で積極的に発言する人の多くに見られることは、Adam Grantが指摘する“Binary bias”で、信じるか信じないか、賛成か反対かという二分化の思考形態と反応 (reaction) のmindsetです。新しい提案を共有し組織内にfeedbackを呼びかける場合でも、返ってくるものの多くはreactionです。 “Reactive people are driven by feelings, by circumstances, by conditions, by their environment. Proactive people are driven by values—carefully thought about, selected and internalised values.” Stephen Covey (1989) The 7 Habits of Highly Effective People 「反応的な人は、感情、状況、条件、環境によって動かされます。Proactiveな人は、慎重に考え、選択し、内在化された価値観によって動かされます。」 Proactiveな人の割合と組織力は正比例の関係にあると考えます。 私は校長会という目的の不明確な会議には欠席していますが、1学期の最後の会議は当番校ということで逃げることができず参加しました。
そこで各学校がどのようなCOVID対策を取っているかという話題になり順番に話を聞くうちに様々な特別措置を取っているのは私たちの学校だけだということに気がつきました。とりわけ、通学に不安を感じる子どもたちが自宅から学習に参加することを保護者と本人が選択できるようにしている学校は、ありませんでした。 3週目に入った秋学期もPortalにある申請フォームを通して自宅から学習に参加する選択肢を選ぶ子どもたちが、予想に反して少ないものの、一定数います。 質問です。
私たちの学校は、教室にいる子どもたちと自宅から学ぶ子どもたちの双方を受け入れてくださる先生方の厚意の上に成り立っていますが、授業料をいただいているという事実を認識すると当然のことのように思います。 同様に、学習課題の種類や方法、評価の内容も子どもたちが自分に合ったものを選ぶという習慣や環境をつくることは教師としての当然の義務でしょう。 さて、日本で久しぶりに生活を始めてみると、日本の行政機関、金融機関、不動産業者の仕組みは利用者の都合や利便性を考えるという機能や感覚を持っていないことに気がつきました。 それらの機関の共通点は利用者に十分な選択肢を与えないか、選択肢がないということです。壁にぶつかるたびに、少々大袈裟な表現ですが、人権が認められていないと感じました。 こんなことを書いていると、インターホンが鳴り「NHKの受信料をいただきにまいりました」という声が流れてきました。この家にはテレビがないことを伝えると集金係の人は無言で立ち去りました。再度訪問とどこかに書き留めたのかもしれません。 テレビを見ない、持たないという選択肢もあることをあの人やNHKは知っているのでしょうか。 |
Author萩原 伸郎 Archives
12月 2024
Categories |