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Ideas

The language of bridges

30/1/2021

 
先週、詩人Amanda Gormanを「無名」と書きましたが、以前から活躍されているので「新人」という表現を使うべきでした。

そのうちのひとつ、TED Talkの中で詩について “Poetry has never been the language of barriers, it's always been the language of bridges.” と語っています。

詩人の高田敏子さんが説明されていることと通じる点があると感じました。「詩は、発明、発見であるといわれていますが、それは、新しい意味の発見、見方、思い方の発明発見です。そしてまた、ことばの使い方の発明発見でもあります。なんでもなく、あたりまえになってしまっているものにも、もう一度目をむけて、それについての意味や価値を思い、たしかめて、もっとよい見方、思い方をさがすことが、詩の使命といってもよいでしょう。」詩の世界 (1972)

質問です。
  1. 詩が表現や思考の障害物ではなく、自由な感性と表現力、思想、価値観の発信をたすける橋(手段)であると感じたことがありますか。  
  2. 両者の詩人は詩を創作する立場で述べています。詩を読む側、鑑賞する側にとって常識や既成概念にとらわれない自由な心の枠組みを持って、発信されてくる様々なmediaをとらえるには何が必要でしょうか。

詩も含めた文芸作品や報道を読んだり聞いたりすること、仕事上の協議や話し合い、家庭での会話、SNSでのやりとりなどcommunicationは私たちの生活の中核的な位置を占めています。

Communicationの主体は発進する側ではなく受け手にあるという理論があります。受け取る側が対応や反応をすることで発信されたものに「意味」がうまれるという考え方です。このことを念頭に振り返ると、発信されてくる文芸作品や報道を読んでも、時によっては心の動きがないことの理由がわかるような気がします。受け手の自分に情報を得ようという意欲が稀薄なのです。

今週こんなやりとりを目にしました。
「あなたには首相としての自覚や責任感、それを言葉で伝えようとする思いがあるんですか。」「少々失礼じゃないでしょうか。言葉が通じる通じないというのは、私に要因があるかもしれませんけれど、私自身は精一杯取り組んでいる。」

どちらの主張も先程のcommunicationの理論によると相当ずれていることに気がつきます。

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The Hill We Climb

22/1/2021

 
数年前実家を整理していると高校2年の時に受けた模擬試験の結果が出てきました。英語は100点満点中27点で、当時の自分が先日の大学入学共通テストを受けたとすると惨敗は確実です。

どの科目よりも長い140分の英語の試験が終わったのは18時10分、受験生は何を感じながら家路についたのでしょう。

質問です。
  1. 中学校と高校の6年間の英語の学習の集大成として総括的評価をするとしたら、どのような内容の試験を準備しどのような方法で実施するでしょうか。  
  2. 大学入学試験をおこなう目的は何でしょうか。なぜ英語は試験科目の中でも最も比重の高い科目になっているのでしょうか。日本の大学で学ぶ際に一定の英語力は必要条件でしょうか。

2021年の大学入学共通テスト英語の問題に目を通して以下のことを考えました。
  • 評価しようとしている能力:正確な読解力、聴解力のみ。理解した内容をもとに、感想、意見、考察、分析、推論へ発展させる発問の機会があるにもかかわらず活用されていない。考察力や表現力は大学教育には必要ではないという共通認識があるのだろうか。大学で必要な英語力が何であるのか共通テストの問題からはとらえることができない。
  • 読解文、聴解対話:様々な状況を仮定して創作しているが、偽物の作り話には格調のある英語(言葉や表現)は存在しない。それらの安っぽい英語を理解することができれば大学教育にふさわしい能力があると判断できるという共通理解があるのだろうか。
  • 問題の構成について:読解問題は設問も英語だが、Listening問題では設問は日本語になっている。その理由が不明である。Listeningについては対話を2回聞くことができる問題と1回だけしか聞けない問題がある。その理由も不明。Listeningの際にnativeの男性が指示をするが、あらゆる点で適切な人選ではない。彼が英語圏で試験の指示を出す人として採用される確率は低い。
  • 英語の種類について:鈴木孝夫、慶應義塾大学名誉教授が定義する ‘Native English’(土着英語), ‘Ethnic English’(民族英語), ‘English as an international auxiliary language’(国際英語) のどれを日本の学校がめざすのかという共通理解や認識があるのか問題からは読み取れない。当然のことながら、日本は国際英語の選択肢を選ぶ必要がある。

Amanda Gormanという無名の詩人の名前と朗読が突然世界中を駆けめぐりました。彼女の詩をもとに学習活動をしてみたいと考えている先生方はこのlinkを開けてみてください。言語、信条、思想はこのように学ぶものだと思います。

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無神経な文章

16/1/2021

 
外務省から海外在住の邦人に「緊急情報」というmailが送信されてきます。今週は緊急事態宣言の発令があったために数回送られてきました。これらのmailの共通点は「外務省海外安全ホームページ」というwebsiteのlinkと「詳細をご確認ください」という一文を加えるだけで「情報」が構成できる、そして受け手が読み理解するという発信側の思い込みです。

そのlinkを素直に開くと、醜く見にくいwebsiteがあらわれてわかりにくい冗長な文章が続きます。

質問です。
  1. 個人が何かを伝えたり説明する時には、聞き手や読み手に対してわかりやすく丁寧に伝える努力をしますが、組織の一員としてその役割を担う時にはその最も大切なことを見失ってしまう傾向があるのはなぜでしょうか。  
  2. 学校のhomepageなどの広報の文章には明るく希望にあふれる言葉や表現を使いますが、募集要項などのような題目がつくと完全に異なったsyntax (構文)を持つ文に変わってしまうのはなぜでしょうか。

外務省が発信している文章は『日本語の作文技術』本多勝一 (1982)の中で指摘されている「無神経な文章」の特徴があらわれています。
  • 紋切型 ~が求められる、~が発せられる、~に関する新たな措置が決定される、~が必要とされる。
  • 繰り返し ~については、~において、~とともに、~してきたところ。
  • 文自体が威張っている(原本は「笑っている」) 行政権を持つ組織の権威と力が市民の上にあるという意識。

Emotional Intelligence (EQ) の構成要素のひとつ ‘Empathy’ はCognitive empathy: 他者の視点や観点を理解する能力、Emotional empathy: 他者が感じていることを自分も感じる能力、Empathic concern: 他者が何を自分から必要としているかを感じる能力から成り立ちます。Daniel Goleman (2013)

情報担当部署の人々が、情報は受け手の目や心理にどう映るか、それは発信側の目的に合致しているか、受け手にわかりやすさだけでなく発信側のあたたかさや親しみやすさを伝えているか、緊張感の中にも希望や期待、連帯感を含めているか、不明なことや不安なことはないだろうか、発信側は何を改善する必要があるか、などを考察する習慣があれば情報の質は上がるでしょう。

組織やその構成員のEQは物事の成否を左右する要素ですが、その事実に気がついていないということが現実のような気がします。

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We are one and free

9/1/2021

 
In the past, jobs were about muscles, now they’re about brains, but in the future they’ll be about the heart. Minouche Shafik, London School of Economics

今週本を読んでいてめぐり合った一文です。

人間が従事する仕事の内容が時代の進化に伴って変化していることは私たち自身も実体験として感じています。心情、思慮、思いやりという人間性は指導的立場にいる人にとって必要な要素であることは以前から指摘されています。 

Compassion is the quality of having positive intentions and real concern for others. Compassion in leadership creates stronger connections between people. Harvard Business Review (2020)

近未来の仕事や経済活動は、各自が思いやりなどの人間性も包含するEmotional Intelligenceを豊かにしていくことが必然的になるという予想。明るい将来を感じます。

質問です。
  1. 人間の仕事や作業の質の重要度が筋肉(力)、頭脳(知識)、心(思いやりや感性)へと推移しているという実感があるでしょうか。その実例はどのようなところに見つけることができるでしょうか。  
  2. 自分の仕事の中に‘heart’の要素、人間性のある価値観や心情を織り込む習慣がありますか。それに気づいた受け手からどんな反応を得ましたか。

2020年の大晦日に豪首相が突然の発表をしました。新年1月1日から国歌の歌詞がこれまでの “For we are young and free.” から “For we are one and free.” に換わるという内容です。

連邦国としての建国は1901年ですが、4万年以上も前から先住民が定住していた史実と先住民族のidentityを考慮するとyoungの一語は明らかに誤りという認識がもとになっています。様々なことがあった年の締めくくりにふさわしいさわやかなnewsになりました。

私たち教師の仕事はこれまでも、そしてこれからも muscles, brains, heartsを使いこなすことが要求される独特な世界の中に存在するように思います。そしてもう一つ特徴的なことは職務を遂行する上で私たち一人ひとりがleaderであるということです。

Leadership is not about titles, status and power over people. Leaders are people who hold themselves accountable for recognising the potential in people and ideas, and developing that potential. Brene Brown (2018) Dare To Lead

今年も良い仕事をしていきましょう。

    Author

    萩原   伸郎

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