先週、詩人Amanda Gormanを「無名」と書きましたが、以前から活躍されているので「新人」という表現を使うべきでした。
そのうちのひとつ、TED Talkの中で詩について “Poetry has never been the language of barriers, it's always been the language of bridges.” と語っています。 詩人の高田敏子さんが説明されていることと通じる点があると感じました。「詩は、発明、発見であるといわれていますが、それは、新しい意味の発見、見方、思い方の発明発見です。そしてまた、ことばの使い方の発明発見でもあります。なんでもなく、あたりまえになってしまっているものにも、もう一度目をむけて、それについての意味や価値を思い、たしかめて、もっとよい見方、思い方をさがすことが、詩の使命といってもよいでしょう。」詩の世界 (1972) 質問です。
詩も含めた文芸作品や報道を読んだり聞いたりすること、仕事上の協議や話し合い、家庭での会話、SNSでのやりとりなどcommunicationは私たちの生活の中核的な位置を占めています。 Communicationの主体は発進する側ではなく受け手にあるという理論があります。受け取る側が対応や反応をすることで発信されたものに「意味」がうまれるという考え方です。このことを念頭に振り返ると、発信されてくる文芸作品や報道を読んでも、時によっては心の動きがないことの理由がわかるような気がします。受け手の自分に情報を得ようという意欲が稀薄なのです。 今週こんなやりとりを目にしました。 「あなたには首相としての自覚や責任感、それを言葉で伝えようとする思いがあるんですか。」「少々失礼じゃないでしょうか。言葉が通じる通じないというのは、私に要因があるかもしれませんけれど、私自身は精一杯取り組んでいる。」 どちらの主張も先程のcommunicationの理論によると相当ずれていることに気がつきます。
0 コメント
数年前実家を整理していると高校2年の時に受けた模擬試験の結果が出てきました。英語は100点満点中27点で、当時の自分が先日の大学入学共通テストを受けたとすると惨敗は確実です。
どの科目よりも長い140分の英語の試験が終わったのは18時10分、受験生は何を感じながら家路についたのでしょう。 質問です。
2021年の大学入学共通テスト英語の問題に目を通して以下のことを考えました。
Amanda Gormanという無名の詩人の名前と朗読が突然世界中を駆けめぐりました。彼女の詩をもとに学習活動をしてみたいと考えている先生方はこのlinkを開けてみてください。言語、信条、思想はこのように学ぶものだと思います。 外務省から海外在住の邦人に「緊急情報」というmailが送信されてきます。今週は緊急事態宣言の発令があったために数回送られてきました。これらのmailの共通点は「外務省海外安全ホームページ」というwebsiteのlinkと「詳細をご確認ください」という一文を加えるだけで「情報」が構成できる、そして受け手が読み理解するという発信側の思い込みです。
そのlinkを素直に開くと、醜く見にくいwebsiteがあらわれてわかりにくい冗長な文章が続きます。 質問です。
外務省が発信している文章は『日本語の作文技術』本多勝一 (1982)の中で指摘されている「無神経な文章」の特徴があらわれています。
Emotional Intelligence (EQ) の構成要素のひとつ ‘Empathy’ はCognitive empathy: 他者の視点や観点を理解する能力、Emotional empathy: 他者が感じていることを自分も感じる能力、Empathic concern: 他者が何を自分から必要としているかを感じる能力から成り立ちます。Daniel Goleman (2013) 情報担当部署の人々が、情報は受け手の目や心理にどう映るか、それは発信側の目的に合致しているか、受け手にわかりやすさだけでなく発信側のあたたかさや親しみやすさを伝えているか、緊張感の中にも希望や期待、連帯感を含めているか、不明なことや不安なことはないだろうか、発信側は何を改善する必要があるか、などを考察する習慣があれば情報の質は上がるでしょう。 組織やその構成員のEQは物事の成否を左右する要素ですが、その事実に気がついていないということが現実のような気がします。 In the past, jobs were about muscles, now they’re about brains, but in the future they’ll be about the heart. Minouche Shafik, London School of Economics
今週本を読んでいてめぐり合った一文です。 人間が従事する仕事の内容が時代の進化に伴って変化していることは私たち自身も実体験として感じています。心情、思慮、思いやりという人間性は指導的立場にいる人にとって必要な要素であることは以前から指摘されています。 Compassion is the quality of having positive intentions and real concern for others. Compassion in leadership creates stronger connections between people. Harvard Business Review (2020) 近未来の仕事や経済活動は、各自が思いやりなどの人間性も包含するEmotional Intelligenceを豊かにしていくことが必然的になるという予想。明るい将来を感じます。 質問です。
2020年の大晦日に豪首相が突然の発表をしました。新年1月1日から国歌の歌詞がこれまでの “For we are young and free.” から “For we are one and free.” に換わるという内容です。 連邦国としての建国は1901年ですが、4万年以上も前から先住民が定住していた史実と先住民族のidentityを考慮するとyoungの一語は明らかに誤りという認識がもとになっています。様々なことがあった年の締めくくりにふさわしいさわやかなnewsになりました。 私たち教師の仕事はこれまでも、そしてこれからも muscles, brains, heartsを使いこなすことが要求される独特な世界の中に存在するように思います。そしてもう一つ特徴的なことは職務を遂行する上で私たち一人ひとりがleaderであるということです。 Leadership is not about titles, status and power over people. Leaders are people who hold themselves accountable for recognising the potential in people and ideas, and developing that potential. Brene Brown (2018) Dare To Lead 今年も良い仕事をしていきましょう。 |
Author萩原 伸郎 Archives
8月 2024
Categories |