10年生の学年集会に行くと、5週間後にあるSemester試験に向けたGoal setting 目標設定の重要性について先生の説明があり、その後各自がLMSから過去の成績表を取り出してこれまでの評定を確認し目標を立て始めました。おそらくどの学校でも試験前になされる「指導」でしょう。
質問です。
教育者のStephen Coveyは「成功」に関する文献を拾い上げ、第一次世界大戦以降は性格や個性、社会的印象、態度や行動、能力や技術などの要素が成功を決めると広く認識されるようになったとしています。そしてその風潮を「絆創膏や鎮痛剤の応急処置的な手法」という表現を使っています。10年生の試験に向けた目標設定の作業は、もしかするとこの範疇に入るかもしれません。 一方で、それ以前の150年間の文献からは、誠実、謙虚、忠実、自制、勇気、公正、忍耐、勤勉、率直、慎ましさ、礼儀などが成功のための土台として認識されていたことを探しあげ、まとめて”The Character Ethic”と名付けています。(The 7 Habits of Highly Effective People, 2013) そしてこれらこそがどの時代にも共通する価値観であり身につけるべき素養であると述べています。 慶應義塾普通部には92年間続く学校行事「労作展」があります。夏休みを中心とした自主研究活動ですが、作品と同時に各自が提出する「製作日誌」に目を通すと、予想を越えるかなり早い時期からそれぞれが取り組んでいることがわかります。 毎年9月に個性と好奇心、創造力にあふれ、重厚で入念な手作りの作品群に向かうのですが、今年はVirtual労作展に入場させていただきました。受賞した生徒さん方の完成までの道のりや感想も読ませていただくと、すべてに共通していることは “The Character Ethic” にある人間性でした。 「賞をとる」のような短期的で限定的な目標よりも、「この分野に精通する、研究者になる、芸術家になる」のような長期的で普遍的な自分像を描いて汗をかきながら努力した普通部生の光景が目に浮かびました。 The purpose of setting goals is to win the game. The purpose of building systems is to continue playing the game. True long-term thinking is goal-less thinking. It’s not about any single accomplishment. It is about the cycle of endless refinement and continuous improvement. James Clear (2018) Atomic Habits
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Author萩原 伸郎 Archives
10月 2024
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