今年も東京から高校生を迎えました。Challenge Based Learning で校内選抜に勝ち抜いてきた二組です。この学校とは2014年からCBLを通して交流をしています。発表にあらわれる分析力、着眼点、行動力、創造力が毎年向上しているのがわかります。日常生活の中から問題を拾いあげ調査を深めて実現可能な解決策を導き出す長い過程ですが、忙しい日本の高校生が時間を絞り出してやり遂げた粘り強さと協働の質はAustraliaの同年代をはるかに越えてています。
Ideas 43に取り上げたように日本の子どもたちの Collaborative Problem Solving の能力の高さは日本の学校文化が産み出した成果だと感じます。 ご一行が帰国された翌日、新学期初めての9年生のCBLのクラスがありました。Communication そのものの力というよりは進んでクラスのメンバーとかかわりを持とうとするかどうかを測定するために People Bingo というゲームをしてみました。20分ほどの時間の中で最大で25人とBingoにある質問を通して応答をすることができます。 回収したBingoの用紙から対話をした人数の合計を調べてみると、予想に反して0人から21人まで広がりました。一桁の人としか言葉を交わさなかった子どもたちが多くいたことにも驚きました。 質問です。
できるだけ多くの人と質疑応答をしてくださいという指示を教師からもらわないと、この9年生たちは自分をある種の緊張感や気まずさを感じる場面に追いやらないということがわかります。新学期だからかもしれませんが、ここに入学してきて3年目です。 穏やかで人当たりの良い子どもたちですが、意外にも殻から出ようとしない傾向があることに改めて気がつきました。思春期の特徴かもしれません。あるいは、長い間学校で体験してきた安易なグループ活動 (work in a group) の反作用かもしれません。もしかするとグループとして学習すること (work as a group) の難しさと楽しさを十分に体験していないからかもしれません。さらに、楽ではないことでも一歩を踏み出すちょっとした勇気を身につけていないからかもしれません。 子どもたちが無意識のうちに楽な方向へ流れてしまう傾向や癖をそのままにしておいたら、これから取り組む課題に向かい合い、いくつかの壁を乗り越えてすばらしい成果に到達することは難しいでしょう。強制ではなく自主的で内発的な学習行動を導き出す方法を考えています。
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Author萩原 伸郎 Archives
8月 2024
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