今週の火曜日、水曜日、木曜日はAustralia津々浦々の3年生、5年生、7年生、9年生が学力試験 National Assessment Program - Literacy and Numeracy (NAPLAN) を受けました。そして金曜日はそれらのいずれかの日に欠席した生徒たちの予備日でした。
Writing, Reading and Numeracy のNAPLANのために、3日間の午前中が使われます。どの学校でも事前の準備や練習が行われることは慣例といって良いでしょう。NAPLAN の結果は各生徒の家庭に通知されます。そして各学校の総合的分析と個人の結果は学校にも届きます。さらに、各学校の結果は不特定多数に向けても発表されます。こちらのsiteには私たちの学校の結果が出ています。 さらに輪をかけるように、Western Australia州ではBand 8という水準に到達しなかった9年生は12年生までの間に州が年2回実施するonline testを受けなければなりません。合格しなければ、州からの高校の修了証はもらえません。 人間の能力を広く深くとらえる多面的な能力観、生活や現実の社会に密着し必然性の高い内容を学習者の主体的で能動的な活動を通して学び、知識、技能、思考力、創造力を育てる教育観、最新最善のtechnologyを活用して、これまで不可能だった高度な学習を可能にし、一層構造化する世界で適応力のある人間を育てる未来観。これらについての継続的な議論と実践から乖離し、正反対の価値観に基づく学力観と学力試験に莫大な時間と経費をかけるのはなぜなのでしょう。 日本では先月小学校6年生と中学校3年生が文部科学省が実施する「全国学力テスト」を受けました。結果の扱い方はAustraliaとは大きく異なるようです。 質問です。 ① 日本では地域や学校間格差を判別するために結果を使うという見方があります。それは本当に必要なことでしょうか。 ② 判明した結果を分析して地域や学校の重点教育目標に据え、効果をあげたという事例がありますか。なぜそれが必要なのでしょう。 学力試験で疲れた顔をした9年生を見送った木曜日の放課後に、制服売店に勤めるstaffと話をしました。50代の彼女は今大学で看護学を勉強しています。4人の子どもを無事に育てあげ、いよいよ自分が持ち続けてきた情熱と希望を実現する時が来たと誇らしげに話してくれました。自分の好きな領域を好きな時に学ぶこと、そして知的な成長は人間の生涯を通して可能だということの良い例だと思います。
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Author萩原 伸郎 Archives
8月 2024
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