日本は世界のどの国と比較しても誇れるほどの便利な社会的環境が整っている国だと思います。日本で生活している子どもたちは、しかしながら、日常生活はそう楽ではないと感じます。
多くの中高生は、体力を消耗する通学、自由に使える時間が少ない日常、ゆとりのない学習環境、長時間に及ぶ部活動、詰め込み型の授業、狭い評価方法と基準、厳しい天候などに耐えています。 悪いことばかりではありません。日本の子どもたちの粘り強さ、不撓不屈の精神resilienceはそれらすべての生活·学習環境のもとで鍛え上げられて形成されるのだと確信しています。Australiaのhigh schoolに通う生徒たちには、風雨の中を靴の中まで濡らして登下校するようなことすら稀なことです。このdocumentary filmに出てくる子どもたちもまた、厳しい環境の中でresilienceの総量を自分自身の中に倍増していると思います。 週2回朝7時から始まる長距離走の同好会The 100 Clubに欠かさずに来る7年生のこの生徒は、34kmの距離を当地の決して便利ではない公共交通機関を使って、バス、電車、バスと乗り継いで参加しています。34kmというと東京駅から中央線立川駅、大阪駅から奈良駅の距離にあたります。 長いstrideで顎を引いて走るstyleで、誰に言われたわけでもなく毎回timeを測って自分を鼓舞しています。走り終わった後の行動にも彼独特の流儀があります。showerを浴びbagから身だしなみを整える道具を出して髪の毛を7−3に分けます。さらに靴磨きの道具まで出して、革靴をピカピカに磨きます。頭の先から足元までお手本のような出で立ちになったところで更衣室を出て自分の教室に向かいます。彼は心臓疾患がありますが、それを跳ね返して挑戦を続けています。 質問です。 ① 世界の国々から子どもたちの粘り強い行動力、つらいこともがんばり抜く精神力が弱くなっているという報告を頻繁に目にするようになりました。子どもたちが「弱くなる」共通の原因・問題点は何でしょうか。 ② Resilienceをつける、伸ばすために学校、地域、保護者は子どもたちとどのように接すれば良いのでしょうか。 ③ 私たち大人のresilienceは強くなっているでしょうか弱くなっているでしょうか。 Resilienceで思い出すのは宮澤賢治の「雨ニモマケズ」です。肉体的にも精神的にも不屈の強さを願う詩は、いつも私たちに正面から向かって来るように感じます。没後に発見された手帳にあったこの詩の右上には11. 3と記されています。11月になると思い出すことの一つです。
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Author萩原 伸郎 Archives
10月 2024
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