翌週から試験が始まるという金曜日、試験の準備が効率的に進むように願いを込めて、高学年の生徒たちの日記によく” Have a productive weekend” と書きます。課題解決学習での聞き込み調査や集計、discussion の前にもしばしば “productivity” を喚起させます。作業にかける時間の長さと成果の質との関連の中で「生産性」“productivity”を意識させることは大切だと思います。
先週ある学校で公開授業を見る機会がありました。授業の後の話し合いの中で、授業をされた先生が iPad の活用について「生産性の向上につながる、学習に有効、業務負担軽減」という『利点』を指摘されました。規格品を生産することが目的の工場で働く人の言葉のように聞こえます。さらに、この先生が意味する「生産性」と私が生徒に意識させるものとは少々隔たりがあるように感じます。 学習活動にTechnologyを活用している先生方に質問です。 ① Technologyを学習活動に導入する Why, What, How は何ですか。 ② 以前の学習活動とTechnologyを活用している現在と比較して学習の内容、方法、形態に変化はありますか。 ③ もし変化があるとしたらそれは何ですか。もし変化がないとすると、その理由は何ですか。 授業を公開した3教室に共通していたことは、①教師主導の一斉授業、②個別化、多様化の視点がない、③一人ひとりの理解度やつまずきを認識していない、④iPadを使っているが、仮に使わなくても、学習活動の質と量に大きな差がない、ことです。iPadという高価な学用品を「使っている」ことで、何かすばらしく高度な学習活動をしているように見えるのが、人間の目の弱さでもあります。子どもたちの自由な発想、深い思考や話し合い、協働、発展的活動を目指せたはずです。 Wired magazineの編集者Kevin KellyがTechnologyについて興味深い考察をしています。 “Technology wants what life wants: Increasing efficiency, increasing opportunity, increasing emergence, increasing complexity, increasing diversity, increasing specialisation, increasing ubiquity, increasing freedom, increasing mutualism, increasing beauty, increasing sentience, increasing structure, increasing evolvability.” Technologyのことを述べていながら、Technologyに縛られずに豊かで自由な可能性を追求しています。学習活動はもちろん、生活のいたるところでTechnologyを活用する理由と目的をこのようにとらえたいと思います。Why, What, How の考察の深さと活用の深さには相関関係があります。 ”Every person here has an assignment. And your assignment is to spend your life discovering what your assignment is.” (Kevin Kelly)
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Author萩原 伸郎 Archives
10月 2024
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