夏休みの限られた期間に改装工事を予定通りに完成させることは容易なことではないと、海外の学校に勤めている時には常に感じていました。建設会社から完成予定日が提示されても、誰も信じないという残念な現象を生みます。
ところが、日本での体験はその正反対です。昨年に続き、今年の工事も予定通りに終了しました。 質問です。 ① 新しい生活や学習環境が目の前にあらわれた時、人はどのようなことを考えるのでしょうか。どのような絵を描くのでしょうか。 ② 新しい環境から、新しいものの見方のヒントや新しい行動のきっかけが生まれ出てくることを期待している人と、そうでない人がいるようです。その違いが出てくるのはなぜでしょうか。 改修工事が終わって出現した環境を喜ぶ人と、喜べない人がいます。「無いもの」に目が向いてしまい「新しい空間や可能性」には気がつかないという現象です。 そんな時にMaslow’s Hierarchyという理論を思い出しました。マズローの欲求階層説というもので、人の欲求は5段階に分類されるというものです。この学説の興味深いところは、人の動機が「欠乏」から来るものと「成長」から来るものの二つに分けられることです。 5段階の4段階は生理的欲求、安全欲求、親和欲求、承認欲求の欠乏動機によって行動を起こしますが、それらが満たされると一番上の自己実現の欲求が生まれてくるというものです。 Esteem 承認には自分自身が自分を認めることと他人から認められることがありますが、他人から認められていないという感情が、新しい環境を肯定的に見ることができず、自分自身がさらに成長する機会と見ることができないのでしょう。 今回の改修工事の場合、本人が必要と考えている教材等の収容量について誰からもたずねられなかったことが、他人から認められていないという感情を生んだのかもしれません。限られた面積の中で優先順位の高いものに十分なスペースを与える方針を貫くと、私物の保管スペースは最小限にならざるを得ないでしょう。 物理的な制限があるとそれに対応しなければならないのは当然のことで、その過程で何が必要で何が必要で無いかを考える機会が出てきます。物にあふれている生活に慣れきっていると際限のない物的欲求が深まっていきます。その習慣に一区切りをつけることは大切なことでしょう。改修工事は来年の夏休みも実施されます。
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Author萩原 伸郎 Archives
8月 2024
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