5 Respectsという道徳にあたる教科の8年生の教室で、Moral conflict (道徳的な対立)を生むような状況を仮定して自分だったらどうするか話し合いをしました。問題の一つ「内容が簡単でAを取りやすい科目と内容がむずかしくAを取りにくい科目のどちらを選びますか」では意見が半分に分かれました。前者を選んだ子どもたちは、自分の実力に合った科目を選び成功を獲得し自信につなげることが大切だという考えに集約されます。後者を取ると主張した子どもたちの意見は、大約すると、むずかしいことやわからないことに挑戦することに価値があり、楽をすることよりも努力することに価値があるというものでした。
図らずも、後者を選んだ子どもたちに、Carol Dweckの研究で明らかになったGrowth Mindsetを持つ人の特徴があらわれました。そして過程が大切だと感じている集団と良い結果を得ることが大切だと考えている集団があることも明確になりました。 そのほかにも「買い物をした際にもらったおつりが多かったらどうしますか」のような Ethical dilemma (道徳上の板ばさみ) に分類されるような状況も話し合いました。 質問です。
消費者の行動や心理に直接関わるものですが、IKEA効果という研究 (2012) があります。IKEAの家具のように、組み立て作業を経て完成品になることで購買者の満足感や充足感が増すという「作業への好意」が明らかになりました。 この心理現象は学習活動にも当てはまります。課題にある程度のむずかしさがあると子どもたちの意欲ややり遂げようとする忍耐力が増すことを私たちは知っています。 さて、この研究のもう一つの発見は、作業の結果の完成品が自分の期待通りではなかった場合にはIKEA効果も減少するということです。今回は仮定に基づいた話し合いだけでしたが、自分の意志でむずかしい教科や課題に向かっている子どもたちからその原動力が何なのか聞いてみたいと思います。
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Author萩原 伸郎 Archives
8月 2024
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