10月22日のThe New York TimesにAdamGrantの評論がありました。この中で、Finlandの小学校では同じ担任の先生が複数年受け持つことの利点が米国の制度と比較して述べられていました。
“But in the data, looping actually had the greatest upsides for less effective teachers — and lower-achieving students. Building an extended relationship gave them the opportunity to grow together.” Adam Grant (2023), The New York Times 「調査データによると学級担任の持ち上がりは、実は指導力に欠ける教師や伸び悩んでいる子どもの双方にとって一番好ましい成果があるということがわかりました。長い時間をかけて築く人間関係は共に成長する機会を与えるということです。」 質問です。 ① 日本の学校では子どもたちと教師、保護者と教師の間柄を肯定的で心理的な距離感も近いものにするために、ポリシーや制度として意図的にデザインする慣習があるでしょうか。 ② 先生方が子どもや保護者、同僚と良い人間関係を築く方法を学ぶ場や機会があるでしょうか。それらの大切な要素は大学の教員養成の課程に含まれているでしょうか。 先週の月曜日からHelsinki EducationWeekに参加しました。学校を訪問すること、そこで先生方、子どもたちから直接話を聞くことを楽しみにしていましたが、その期待は裏切られませんでした。世界中からの訪問者に向けて特別なことをするのではなく、先生方も子どもたちも普段通りの姿で迎えてくれました。そして両者は自然な学校生活のパートナーとしての関係が顕著にあらわれていました。 案内をしてくれた子どもたちや先生方からは謙虚な自信が伝わってきました。自分たちの学校や教育制度に誇りが持てるということはすばらしいことだと思います。同時に心理的、経済的な安心感があるからこそ表出してくる態度だろうと予想がつきます。 “Great education systems create cultures of opportunity for all.” Adam Grant (2023) 教員養成課程、採用基準、待遇、生活と仕事のバランスなど、多くの国が抱えている教職の課題が、この国ではそれらが課題になる以前に必要条件として勘案された優れた制度と文化をつくりあげたことで成果が上がり、さらに強みになって良い成果をあげるという連鎖を起こしているのでしょう。 すべての人に平等に機会を提供するという理念は社会の様々な場面で見られます。木曜日の午後に駅の近くにある図書館に行ってみました。この施設もその理念が隅々に具現化されていました。
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Author萩原 伸郎 Archives
8月 2024
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