Adam Grantの新著の中に「文化」を構成する3つの要素があげられていました。Practices 習慣・慣行、Values 価値観、Underlined assumptions 期待感。
私たちの学校の2023年最後の登校日の晩に、生徒会主催のWinter Ballが校内で開かれました。参加者がダンスをして楽しむ通常のBallとは異なり、個々のパフォーマンスが続く発表会です。 例年のイベントで、誰でもステージにあがって楽しむべきだという価値観があり、個性あふれるパフォーマンスがあっておもしろそうだという期待感がみなぎる、まさに先ほどの三要素で構成された「文化」です。 年末の挨拶メールをオーストラリアの前任校の同僚に送ると、その返事にこの年度末 (オーストラリアでは1月に学年が始まり12月に終わる) に17人が異動する知らせがありました。昨年度末にも相当な教員が転勤したので、私が辞めてわずか3年で総教員数の半分以上が入れ替わったことになります。これもオーストラリアの私立学校の文化のひとつです。 質問です。 ① 教員が同じところに留まらずに別の学校へ転勤する意義や利点は何でしょう。一方で問題点や課題があるとすると何でしょうか。 ② 日本の私立学校では教員の異動が少ないのはなぜでしょうか。勤務が必ずしも順調でなくても、あるいは不満があってもその学校に留まる教員が多いのはなぜでしょうか。 自主的な異動の習慣が少ないことだけではなく、日本の学校や社会の根底に「変えない」「変えようとしない」文化があるように感じます。文化と表現するべきかどうか疑問が出るかもしれませんが、それが習慣であり、価値観であり、期待感であるという文化の三要素にあてはまるのです。 自分にとってより良い条件や環境は何であるかを考えること、それらを探し求めること、そして新しい選択肢を選ぶことは、良い仕事をして幸福感を増す条件でしょう。学校にはそのような「変える文化」が必要で、どうやって育めば良いのかが目下の課題です。 “I believe that culture is the hidden tool for transforming our schools and offering our students the best learning possible.” “In reality, curriculum is something that is enacted with students. It plays out within the dynamics of the school and classroom culture. Thus culture is foundational. It will determine how any curriculum comes to life.” Ron Ritchhart (2015) Create Cultures of Thinking 「私は、文化こそが学校を変革し、生徒たちに最高の学びを提供するための隠れたツールだと信じています。」「現実には、カリキュラムは生徒とともに実践されるものです。それは、学校や教室の文化のダイナミクスの中で展開されます。従って、文化は基礎となるものです。どのようなカリキュラムがどのように実現されるかは、文化によって決まるのです。」
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Author萩原 伸郎 Archives
8月 2024
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