課題解決型学習の成否を左右するものは、経験的・実践的学習を通して生徒たちがいかに「課題」と向かい合うか、つながるかということにあります。そのためには「課題」が様々な情報や今日的な問題の中から選び出されるのが常套手段ですが、落とし穴があります。
そのような「課題」は社会の課題ですが、学習者の課題にはならない場合が多くあります。なぜなら社会的な問題に共感しても、学習者にとっては「解決する」必然性や可能性の薄い「課題」だからです。私は生徒たちに自分の問題から始めるように、見つめるように話しています。 課題解決型学習 Challenge Based Learning (CBL) を実践している都内の高校に先週うかがいました。2年生全員を対象としたworkshopは私のdesign不良で生産性の低いものになりましたが、その後のgroupごとの話し合いでは生徒さん方の熱意と意欲に圧倒されました。 質問です。 ① 小学校1年生から知識注入型の教科学習に慣れきった子どもたちにとって、課題解決型学習はどんな意味があるでしょう。 ② 課題解決型学習をすすめる際に、教師にはどのような視点や能力が必要とされるでしょうか。 進路指導が本当に自分の将来の方向性を導くものなのかという疑問。授業に集中できないのはなぜなのかという疑問。英語を習うだけではなく日常的に使うような環境がないという問題。それら日常的な「私」の問題が話し合いを通してCBLの課題として再認識されました。 最終下校時刻になるまで話し合いを希望するgroupは途切れませんでした。そこで、昨日もその高校にうかがって積み残してしまったgroupと話し合いました。最後に現れたのはmemberが帰宅してしまって一人だけで順番を待っていた生徒さん。教育に関心があって、日本の教育や人材育成に疑問があるということを明確に伝えてくれました。 一体これらの生徒さん方を突き動かしているものは何だろう。一般的な数字による評価が出ないCBLにこれほど多くの生徒さん方を真剣にさせているものは何なのか。担当されている先生方、この学校の文化や価値観などの目に見えない力を感じると同時に、生徒さん方の伸びやかな人間性と自分にとって良いものを感じ取る感性に感動しました。こういう若者がいる国の将来は明るいと感じました。 The aims of education are to enable students to understand the world around them and the talents within them so that they can become fulfilled individuals and active, compassionate citizens. Ken Robinson (2015) Creative Schools
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Author萩原 伸郎 Archives
8月 2024
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