先入観や偏見について、中等部の子どもたち全員と話し合いました。7年生は「背が高いからスポーツをしているだろうという先入観を持たれる」、「男だからこれくらいできるだろうと偏見を持たれる」、「めがねをかけているから頭が良さそうと言われる」などのようなつぶやきがあり、8年生からは「服装で運動ができる人と思われている」、「ホームレスの人が悪いと決めつける人がいる」、「数学だけが苦手なのに他の教科も苦手と思われている」という発言がありました。9年生からはさらに深い体験を共有してくれました。「せんぎょうしゅふと聞くと『専業主婦』しか思いつかない人がいる」「髪型や服装で警察官から職務質問を受けた時に校名を伝えても信じてもらえなかった」「帰国子女=英語ペラペラ」「朝の電車で『こいつ金髪やほんまに学校行くんか?』みたいな目で見られる」
多くの子どもたちが先入観や偏見を持たれて苦々しい体験をしている事実を改めて認識するきっかけになりました。自分も学校に通っていた頃や社会に出てから、他の人に対して持ってしまった先入観や偏見を思い出し、また他の人から持たれてしまったこともよみがえってきました。 質問です。
1130冊の児童書をAIを活用して人種、年齢、肌の色、性別に関して先入観や偏見がどのようにあらわれているかを調査した研究が最近発表されました。 AIの分析が明らかにしたものは、たとえば、好ましい登場人物は肌の色が薄い場合が多いというような予想がつきやすいものですが、子どもたちの読み物の中に先入観や偏見を生むきっかけになる要素が多く潜んでいることがわかり、本を選ぶ際に大人が気をつける必要があることが明確になりました。 子どもたちの学習に関しては先入観や偏見はあってはならないものですが、指導する人が評価もするという環境では、様々な主観的な要素に影響を受ける場合が多いように感じます。客観性をあげるためには診断的、形成的評価を頻繁に実施することが重要になってきますが、入口・出口質問のような簡単に実践できるものを日常的に活用するだけでも客観的事実や証拠を集めることができ、同時に無意識のうちに持っている何らかの先入観を排除することができるでしょう。 共感EmpathyはDesign Thinkingの出発点ですが、学習活動も子どもたちへの共感が第一歩のように思います。共感があるところに先入観や偏見が忍び込む可能性は低いように感じます。
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Author萩原 伸郎 Archives
8月 2024
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