8年生と3枚の絵をもとに考えました。1枚目は塀の向こう側の野球場で行われている試合を見るために、それぞれ身長の違う子どもたちが同じ高さの箱の上に立っている絵。2枚目は身長と塀の高さにあった箱の上に立って試合を見ている絵。3枚目は障害になっている塀をなくして、踏み台の箱も使わずに試合を見ている絵。
1枚目の絵では、一番身長が高い子は楽に試合を見ることができるのに箱に立っています。一番背が低い子は箱に乗っても塀の高さにとどきません。 これらの3種類の絵に当てはまる言葉を考えてもらいました。1枚目は「Equality 平等」、2枚目は「Equity 公平」という答えで一致しましたが、3枚目の絵には「自由」「人権」「バリアフリー」などの言葉が出てきました。 質問です。
日本の学校に典型的な校舎のデザインには設置者の効率性を最優先した「平等」思想が現れています。大切な校名を各校「平等」に番号で決められてしまった公立学校も多くあります。こうして考察してみると型通りの平等を提供することにさほどの準備も配慮もなされなかったのだろうと予想がつきます。 最近使われるようになった個別最適化という言葉の本当の意味がどの程度理解されているか、共感されているかは不明ですが、Differentiationの究極的な目的は学習活動に「公平」や「バリアフリー」の具体的な方法を導入して一人ひとりに成長を保証することにあります。 たとえば、退屈で美しくない個々の教室をわくわくするような楽しい環境に変えることは可能でしょうか。 すべての子どもたちに同じ課題を同じ量だけ課すのではなく、好き嫌い、得意不得意に合わせて異なった課題を異なった量でとどけることは可能でしょうか。 自分の知性、得意な領域から単元に入って学習を深めることは可能でしょうか。 こうして考え始めると、塀を取り除いてすべての子どもたちがそれぞれに学びを楽しむ環境を作ることは可能であることに気がつきます。
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Author萩原 伸郎 Archives
8月 2024
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