「本校はアクティブラーニングを推進しています」と来校者向けのいくつもの掲示物に宣言をしている中学校です。しかし教室の学習の様子からは、その実践例を見つけることはできませんでした。
その逆に、子どもたちに完全に受け身であることを強制し消極的にさせているものは教師主導の画一的な指導であることに気づく必要があるでしょう。課題の提示、その課題の考え方、解き方、解答、要点をまとめることまで先生がしてしまいます。このような行動を英語では赤ちゃんに離乳食を与えることになぞらえて spoon-feed と呼びます。自分で食べることができるように成長したら、食卓を食べ散らかし、顔や服を汚しますが、自分で食べさせなければなりません。 ある中学校を訪問した日には避難訓練が予定されていました。5時間目の始まりに先生が避難訓練の始まる時刻、筋書き(地震発生、給食室から出火)、体育館へ移動すること、移動の際の留意事項(ハンカチを口にあてる、走らない、騒がない等)をすべて子どもたちに説明しました。この学校の後ろは高い堤防と運河が、すぐ前には海があります。安閑とはしていられない場所にあります。 質問です ① 先生からの指示、説明、解答を受けるだけの子どもたちが失うものは何でしょう ② 先生は無意識のうちに日常的に教え込みをしていると思われますが、なぜその習慣から抜け出すことができないのでしょう。 中休みの後の小学校3年生の教室です。3人の子どもたちが先生に何か伝えています。中休み中に何かあったようです。報告を聞いた先生は学級の全員に「これからは教室からボールを持って行った人が休み時間の終わりに持ってくることにします。」と伝えました。それを聞いて納得することのできない子が何回も質問をしましたが先生は押し切りました。学級の小さな問題でも全員で話し合うことで子どもたちの社会的な成長を助け、共同体意識を深めることになるはずです。 考える時間や機会を子どもたちに十分に与えていないばかりでなく、子どもから出てきた意見や考えについて即断してしまう先生も見かけます。小学校3年生の社会科の教室です。翌々日に予定されている「町たんけん」で知りたいことはありますかと問いかけますが、子どもたちの反応はありません。しばらくして一人の子がそっと手を挙げて「商店街がいつできたか知りたいです。」と発言しました。すると先生は「どうやって調べるのですか。商店街にいつできたのかを知らせる看板があるのですか。」と反論して取り上げませんでした。 学校訪問を重ねるうちに、学校と教育産業との違いを考えることがあります。今日の日本の学校が塾とは完全に異なると主張することができる学習活動は何でしょうか。
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Author萩原 伸郎 Archives
8月 2024
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