2か月ほど前から相談を持ちかけられていましたが、お互いの日程が合わずにのびのびになっていました。ようやく先日の土曜日の午後に都合が合い会うことがきました。
8年前の卒業生で、お父さんが弁護士をされているので、その影響もあって法学部に進学しました。こつこつと努力を重ねて大学を卒業し、弁護士になるための課程を無事に終えて、企業を顧客とする法律事務所に就職しました。しばらくして、自分は家庭や家族にかかわる分野に向いていると感じて、それらを専門とする法律事務所に転勤して今に至ります。そして今回の相談の理由となる「別の考え」が彼の頭の中を支配し始めます。 「たどり着いた職を辞めて、自分に本当に合う仕事、本当に好きな仕事がしたい」と言いました。机に向かって膨大な資料や調査をまとめ法律と照らし合わせる高度な作業を長時間続けながら、これは自分がしたかった仕事、天職ではないという感覚が次第に大きくなってきたと言います。彼が今感じている天職とはHigh schoolの教師です。 質問です。
毎年5人ぐらいの卒業生を訪ね、彼らの卒業後の人生の歩みを映像にしています。数回にわたって会い、いろいろと話を聞き、職場も見せてもらっています。誰もが順風満帆には物事が進まず辛抱や試練の時期を持っていますが、その時のたゆまない努力が現在の幸福感や充実感と結びついていることを感じます。その部分の映像もまた観る人々、とりわけ在校生にとって、価値の高い示唆になります。今年撮った卒業生、専門学校で学んだ内容が自分の興味とは合わないことを直感し建築作業員として一から学び、総工費が数億円の建設を扱う会社を経営。大学を中退し高校生の時からアルバイトをしていた全国チェーンの衣料雑貨大型店で働き続け、州のマネージャに昇格。4人の子育て中の34歳の時に大学で看護学を学び始め、公立病院の看護師として勤務。音楽院2年生でJazzに情熱を失いClassical music専攻に切り替えて博士号まで取得、音楽院で教鞭。 教師への転職を決めた彼は、来年新学期から教員養成の講座を受講する予定です。しばらくは現在の仕事を続けながらの二重生活になりますが、彼なら無事に乗りきることができるでしょう。弁護士の経験が子どもたちとの学習活動にどんな特徴や個性を生み出すのか、その教室で生徒として見てみたいものです。
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Author萩原 伸郎 Archives
8月 2024
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