学校での学習活動の後には学習の成果をはかる評価が伴うのが一般的です。学ぶことが第一義で評価が従であるはずですが、実際の教室をのぞくと、主従関係は反転し、評価のために教科書の内容を教え込んでいる現状を目の当たりにします。
学習の成果の何をどのような方法で評価しているのかを調べることも今回のDenmarkの学校訪問のねらいでした。 質問です。
Innovation という教科には個別の知識ではなく社会科学分野の知識をもとにした分析力や思考力、企画力、発表力など総合的な能力をはかる試験があることがわかりました。各グループが担任教師から提示された事例を分析し48時間以内に解決策を発表するというCase Studyです。 社会科系、理科系の教科では担任教師から提示された資料を各自90分間分析し、自らが質問を導き出し、30分でその質問に口頭で答えるという方法をとります。その発表は二人の教師(一人は教科の担任、もう一人は他校の教師)が採点します。 採点について興味深かったことは、美術のような芸術教科では制作した作品の一作ごとを評価せず、作品や練習、学習ノートなどをまとめたportfolioを総合的に評価していること。記述・論述が主要な試験となる教科では指導した教師ではなく、他校の二人の教師が採点するということです。 9年生の最後には全員が受ける到達度試験が7教科にわたってありますが、ここでも筆記と口頭、あるいは口頭のみの方法で能力や技能をはかります。結果は点数化されず、さらに合否の判定もありません。教育省のwebsiteには次のような解説がありました。”Each examination subject is assessed on its own merit; results cannot be summed up to give an average mark, in the same way, there are no pass or fail criteria.” Denmarkでは教育評価の要素である比較と説明のうち、「説明」に徹していることがよくわかります。教師たちの時間と専門性を最大限活用して、試験を個別に実施するという生産性の低い方法をあえて選択している事実。質の良いものを追求し提供する、この国の教育に対する価値観を別の視点からも認識することができました。
0 コメント
返信を残す |
Author萩原 伸郎 Archives
8月 2024
Categories |