都内の小中学校は算数、数学、英語の教科で学級の枠をはずした習熟度別指導をしています。この「東京方式」の目的は「習熟度別指導は、個に応じたきめ細かな指導を通して、基礎的・基本的な内容の確実な定着を図るとともに、児童・生徒の個性を生かし、自ら学び、自ら考える力などの「確かな学力」を育むための指導方法として実施するものである。」とガイドラインに書かれています。
訪問した学校のそれらの教科の学習風景からは、少人数で子どもたちと先生の距離が近い穏やかな雰囲気が感じられました。理想的な制度ですが、本当にねらい通りに実践されているかどうかは疑問に思いました。 5年生の算数の時間です。15名、10名、19名の3組に分かれてそれぞれ別の教室で学習が始まりました。10名のクラスには学年主任と思われる先生、指導補助として2名の先生がついています。冒頭、先生が「大切」と書いて「小数点があっても整数の場合と同じように計算できる」と板書をしました。筆算の問題も書き、子どもたちに板書を写させました。しばらくすると先生は「まだ終わっていない人は手をおいて」と言って、計算の方法の説明を始めました。それが終わると、練習問題を始めるように指示を出しました。板書を写し終えていなかった子どもたちは時間をもらえずに、指導補助の先生に促されて練習問題へと進みました。 質問です ① 「個に応じたきめ細かな指導」とは具体的にどのような学習活動を指しているのでしょう。 ② 習熟度別では何を基準に子どもたちを分けているのでしょう。習熟度別指導の盲点は何でしょうか。 ある小学校の算数の時間です。習熟度別に子どもたちが2クラスに分かれます。両クラス共、先生が問題を板書することから始まります。そして、書かれた問題は両クラスとも同じでした。 数々の学校訪問で認識したことは、習熟度別指導とは結局のところ画一的な内容の一斉授業であるということです。生徒数が10名でも20名であっても、先生の目は一人ひとりの子どもの理解度やつまずきをとらえていませんでした。 習熟度別指導という言葉は、学習の主体者である子どもに寄り添う「指導法」であるような印象を無責任に拡散しています。大切なことは、その仕事に向かう先生方の認識の中に一人ひとりの子どもたちの能力、興味関心、意欲、経験、学習環境の好みなどは異なるという事実にどのように向きあうかという専門性がなければ、子どもたちにとっては通常の教室での学習と変わりがないということでしょう。学習の個別化を準備することは職責の一つだと思います。
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Author萩原 伸郎 Archives
12月 2024
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