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Market society

19/4/2026

 
2017年に書いたIdeasのblogに、Harvard UniversityのSandel教授が2013年に登壇したTED Talkで述べられた指摘を引用しました。

"Over the past three decades, we have lived through a quiet revolution. We've drifted almost without realising it from having a market economy to becoming market societies. The difference is this: A market economy is a tool, a valuable and effective tool, for organising productive activity, but a market society is a place where almost everything is up for sale. It's a way of life, in which market thinking and market values begin to dominate every aspect of life: personal relations, family life, health, education, politics, law, civic life.” Michael Sandel  (2013) Why we shouldn't trust markets with our civic life

「過去30年間、私たちは静かな革命を経験してきました。私たちはほとんど気づかないうちに、市場経済から市場社会へと移行してきたのです。その違いはこうです。市場経済とは、生産活動を組織化するための価値ある効果的な「道具」に過ぎませんが、市場社会とは、ほぼすべてのものが売り物となる場所なのです。それは、市場的な思考や価値観が、人間関係、家庭生活、健康、教育、政治、法、市民生活など、生活のあらゆる側面を支配し始めるような生き方なのです。」

中東情勢を報道するニュースは、痛みや悲しみの最中にいる人々を置き去りにして、常に株価や原油価格の動向などとセットになって報道されます。それを見るたびにSandel教授のこの言葉を思い出します。あれから10年以上過ぎ、教授が憂うべき現象として訴えていた市場社会が私たちを取り巻く日常的な現実になっていることを感じます。

質問です。
① もしあなたが公共放送の国際報道担当だったら、あるいは全国紙の新聞社の国際部担当だったら、中東情勢についてどのような視点で取材をしてどのような情報を日本に住む人々に伝えるでしょう。
② 教室の子どもたちは遠く離れた地域や国で紛争や戦争が起きていること、子どもたちや市民が犠牲になっていることをどのような媒体を通して状況を正確に知るのでしょうか。子どもたちの感情や心情を学校や教師はどのように受け止めているのでしょうか。

自分の生活を守ることや世の中の動向に敏感になることは当然のことですが、市場的な思考や価値観の浸透は、道義的、倫理的な判断基準ではなく自分にとって価値がある物事だけを支持し、数値化や効率性を追い求め、業績主義 Meritocracyを蔓延させます。広い視点で物事の連鎖反応や因果関係を理解する能力や、社会的弱者への共感や共同体意識を持ち共通善 Common goodのために自分ができることを模索し行動に移す能力と対極にあります。

世界の中枢にいる人々がこれまでの惨状について何も発言、行動しない中で、レオ14世教皇の厳しい現状批判に世界中の多くの人々が、宗教を超えて共鳴しています。

"To them we cry out: stop! It is time for peace! Sit at the table of dialogue and mediation – not at the table where rearmament is planned and deadly actions are decided.” 

"Enough of the idolatry of self and money! Enough of the display of power! Enough of war! True strength is shown in serving life.” Pope Leo 11 April 2026

「私たちは彼らに向かって叫びます。やめてください!今こそ平和の時です!再軍備が計画され、殺戮的な行動が決定される場ではなく、対話と調停の場についてください。」

「自己や金銭への崇拝はもういい! 力の誇示はもういい! 戦争はもういい! 真の強さは、命を慈しむことにこそ表れるのです。」

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    Author

    萩原   伸郎

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