11年生(高校2年生)のField Study Tripを引率しました。各地の訪問、そこでの交流や体験はすべてが大成功で、参加した生徒たちにはたくさんの学びがありました。
一方、私は10代後半の生徒たちの行動に関心がありました。観察をするまでもなく、Generation Zの行動形態はSmartphoneを媒体に現実世界とvirtual spaceやゲームの世界を常に行き来していることに気がつきました。それは、ぼんやりしている時間がまったく無いということで、たとえばA地点からB地点への乗り物を使った移動中には、車窓からの風景を眺めことには従事せず、Smartphoneの画面を注視するか寝ることに集中するという行動パターンがあきらかになりました。 これらの行動は、実際に起こっていることがつまらないからしているのではなく、いつの間にか習慣としてこの人たちの頭脳に組み込まれ、当然の習慣として動作にあらわれているようです。 質問です。 ① あなたは何もすることがない時、退屈な時に巡り会うことがありますか。そのような時に何をしますか。Smartphoneが手元になかったら何をしますか。 ② Smartphoneに自分の行動が支配されている、操られていると感じることはありますか。子どもたちは、そのようなことを感じることがあるのでしょうか。 数週間前のDr Laurie SantosのPodcastにBoredom 退屈を扱ったEpisodeがありました。何もすることがない時には、手持ち無沙汰で落ち着かないという時間帯を過ぎると、質の高い豊かな心持ちの時間帯が訪れること。 さらに、家事などの日常の作業、たとえば清掃に関わっている時には、作業をしながらMind wondering 頭の中でいろいろな物事を考える時間が生まれていること。研究によると、私たちが思いつく新しいアイデアの約20%はその時間帯に生み出されているということ。 確かに、自分の生活を振り返ってみると、掃除機をかけている時にいつもたくさんのアイデアが出てきています。 しかしながら、これらのすべての有効な結果を得るための条件は、もうお気づきかもしれませんが、Smartphoneを使わないこと、持っていない時のことなのです。
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Roger Federerが6月にあったDartmouth Collegeの卒業式で祝辞スピーチをしました。すぐにSNS上で話題になったのですが、この週末にようやくそのスピーチのすべてを聞き、読む機会がありました。人々を感動させたのは次の部分です。
“In tennis, perfection is impossible... In the 1,526 singles matches I played in my career, I won almost 80% of those matches... Now, I have a question for all of you... what percentage of the POINTS do you think I won in those matches? Only 54%. In other words, even top-ranked tennis players win barely more than half of the points they play.” 「テニスの世界で完璧であることは不可能です。私が選手時代にプレーした1526試合のシングルスのうち、私はそのほぼ80%に勝っています。では、みなさんに質問です。その試合で私が獲得したポイントの割合はどれくらいだと思いますか?わずか54%です。言い換えれば、トップクラスのテニスプレーヤーでさえ、プレーしたポイントの半分を獲得するのがやっとだということです。」 質問です。 ① 子どもたちが学ぶ教室で、私たち教師が「完璧」を求めていないことがあるでしょうか。学習の過程では、子どもたちに寄り添う姿勢を示していても、評価になると豹変して ’all or nothing’ になってしまっている慣習に気がつくことはないでしょうか。 ② 専門職の教師として仕事に向かう際に、私たちはどの程度の完成度に到達することを意識しているでしょうか。常に完璧であることを目指しているでしょうか。 私たちは「うまくいって当たり前」とか「問題や事故がなくて当たり前」の環境の中で生活をしています。それだけ精度の高い社会であることが、良くも悪くも現実であり、私たちの意識でもあります。しかしながら、現実は非常に危うい偶然の連続の上にかろうじて成り立っているということを認識する必要があります。とりわけ、子どもたちの生活や学習の過程が完璧なはずはないでしょう。 そして、私たちの仕事も常に完璧に進めば良いのですが、そうではないことの方が多いのです。その時にその事実をどう認めるか。そして、どうやって前に進むか。Federerの言葉を借りると、 “The best in the world are not the best because they win every point... It’s because they know they’ll lose... again and again… and have learned how to deal with it.” 「世界最高の選手は、すべてのポイントに勝つから最高なのではありません。彼らは負けることを知っているからなのです。何度も何度も、それに対処する方法を学んできたからです。」 私たちにとって、失敗や期待通りに進まなかった時の対応策は何でしょう。 |
Author萩原 伸郎 Archives
12月 2024
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